Aguhont Story Record 23rd Episode

『Chatsumin』 

作:oroるん 

(3:1:2) ⏱40分 

  

マズダー 男性 アンドロイド どこの国にも属さない戦いの見届け役

《タングリスニ》

ディーゴ 男性 人間 腸内環境を自在に操る異色の魔法使い

《バルナ》

テオ・ダンクワース 今回は性別不問 人間 世界中を渡り歩く画商の青年

《リーベル》

ナハト 男性 人間 要人の護衛を生業とする通称「戦争屋」

《マリシ》

アイシャ 女性 エルフ マリシ軍所属の怪力カンフー使い

《その他》

X 性別不問 種族不明 デスゲームを主催する謎の人物

※アドリブ大歓迎!楽しく読んで頂けたら嬉しいです!共演者を笑わせたら勝ち、ぐらいのノリで演じてみて下さい!

※キャストに割り当てられた皆さんへ    悪気は全く無いので怒らないでね! by作者



➖以下、本編➖


マズダー:(N)『密室に閉じ込められた四人の男女!誰が、何の為に、彼らをここに集めたのか!?』

マズダー:(N)『やがて彼らは知る。ここで恐ろしい、デスゲームが繰り広げられることを!』

マズダー:(N)『最後まで生き残るのは・・・一体誰だ!?』

➖間


➖地下の密室

ディーゴ:(アイシャの体を揺すりながら)大丈夫ですか?目を覚まして下さい!

アイシャ:(気絶から目覚め)ここは・・・

ディーゴ:(更に激しく揺すりながら)お願いです!起きて下さい!

アイシャ:(揺らされながら)起きてる!起きてるから、揺らすのを辞めるアル!

ディーゴ:(更に揺らす)起きて!起きて!起きて!

アイシャ:(激しく揺らされ)やめて、酔うから・・・良い加減にするアル!(ディーゴを殴り飛ばす)

ディーゴ:ホゲェ!(吹っ飛ばされる)

ディーゴ:ひ、ひどいですよお。私はただ、貴方を起こそうとしてただけなのに。

テオ:どうやら、みんな目を覚ましたみたいですね。

アイシャ:ここは何処アル?アンタらは誰ネ?

ナハト:こっちが聞きたいよ。

ディーゴ:私たちは、いつの間にか眠らされて、この部屋に閉じ込められたみたいなんです。

アイシャ:閉じ込められた!?

ディーゴ:ええ。

アイシャ:そうだったアルか。

テオ:とりあえず、自己紹介でもしませんか?名前も分からないんじゃ不便ですし。

テオ:僕はテオ・ダンクワース。バルナで画商をやっています。

ナハト:俺はナハト。リーベルの・・・まあ、「何でも屋」みたいなもんだ。

テオ:何でも屋?

ナハト:「戦争屋」なんて呼ぶ奴もいるが・・・

ディーゴ:「戦争屋」!?すごい!カッコイイです!

ナハト:そ、そうか?

ディーゴ:はい!憧れちゃうなあ!握手して下さい!

ナハト:あ、ああ。(握手する)

マズダー:(N)『二人はガッチリと握手を交わした!』

テオ:そう言う貴方は何者なんですか?

ディーゴ:すいません、申し遅れました!私はディーゴ。タングリスニ人です。

アイシャ:アイシャ。マリシ軍所属アル。

ナハト:アグホント四カ国から一人ずつ、か。何か意図的なものを感じるな。

テオ:一体、誰がこんなことを・・・

アイシャ:それを考えるのは後アル。今はここから脱出するのが先決ネ!

ディーゴ:どうやって?この部屋をよく見てください。出口なんか何処にも無い、密室なんです!

アイシャ:出口が無ければ、作れば良いネ!

ナハト:出口を、作る?

アイシャ:壁をぶち破るアル!

テオ:ええっ!?

アイシャ:アンタら、私が一緒でラッキーだったアルネ!そこで見てるヨロシ!

アイシャ:ぶちかますアルよ!はあああ!

マズダー:(N)『アイシャが壁に拳を撃ちつける!凄まじい一撃!』

アイシャ:ぐっ!

マズダー:(N)『しかし、壁はビクともしなかった!』

ナハト:素手で「ぶち壊す」気だったのか?とんだ脳筋エルフだな。

アイシャ:うるさいアル!(何度も壁を蹴る殴る)こんな!壁ぐらい!私の力で!風穴!・・・開けれないアル。

マズダー:(N)『アイシャの度重なる攻撃でも、傷一つ付くことはなかった!』

テオ:無茶ですよ!

アイシャ:だあー!何て頑丈な壁アルか!

ディーゴ:お手上げですね・・・

ナハト:無駄な労力(だったな)

X:(被せて)無駄な労力でしたねえ、脳筋エルフさん?

アイシャ:なっ!?

テオ:この声、どこから?

ナハト:どうやら、あそこだな。

マズダー:(N)『ナハトが指差した先、天井近くにスピーカーが取り付けられていた!』

マズダー:(N)『そして、そのスピーカーから、正体不明の人物の声が、部屋中に不気味に響き渡る!』

X:皆様、この度はご足労頂き、恐縮の極みでございます。

ディーゴ:あなたは誰なんですか?私たちをどうするつもりですか?

X:それを今から説明するんでしょ?話は最後まで聞きましょうって先生に習いませんでした?

テオ:くっ!

X:私のことは・・・そうですねえ、「X」とでもお呼び下さい。

アイシャ:X?ふざけたネーミングアル!

X:この美しい顔をお見せできないのは残念ですが、この麗しい美声で我慢して下さい。

ナハト:余裕かましやがって、ムカつく野郎だな。

X:さて、今回皆様にお集まり頂いたのは他でもありません。ちょっとしたゲームに参加して頂くためです。

テオ:ゲーム?

X:ええ。

ディーゴ:一体何のゲーム・・・うぐっ!

マズダー:(N)『突然、ディーゴが腹を押さえてうずくまった!』

アイシャ:ディーゴ?

ディーゴ:何だこれ・・・急にお腹が痛くなって・・・

テオ:ディーゴさん?大丈夫ですか?

ディーゴ:すいません、肩を貸して頂けますか?

テオ:は、はい。(肩を貸しディーゴを立たせる)

X:クックック・・・

マズダー:(N)『Xは不気味な笑い声を発する』

ナハト:ぐっ・・・これは?

テオ:まさか、ナハトさんも?

ナハト:あ、ああ。急に腹が・・・

アイシャ:あいっ!?

テオ:アイシャさんまで?

アイシャ:どういう事アルか・・・

テオ:みんな、一体どうしたんだ・・・イッヒィーン!!

X:変わったうめき声ですね・・・

マズダー:(N)『四人全員が、同時に腹痛を訴えている。これを偶然と思う者は、その場に誰もいなかった!』

ディーゴ:貴方、私たちに何をしたんですか!?

ナハト:この腹痛・・・まさか!

X:そう、それは・・・

マズダー:(N)『その腹痛の原因とは!?』

アイシャ:・・・妊娠?

X:違うわ!

ナハト:は、孕ませ(はらませ)たのか!?

X:んな訳ねーだろ!お前妊娠できんのか!?

テオ:イヤアアアアア!

X:うるせえ!

マズダー:(N)『どうやら妊娠では無いようだ!』

アイシャ:妊娠じゃないなら、一体何をしたネ!?

X:クックック、それは・・・

テオ:きっと、妊娠よりも遥かに恐ろしいものです!

X:・・・えっ?

ナハト:ああ、きっとそうに違い無い!俺たちの腹に、とんでもないものを仕込みやがったんだ!

X:えーっと、その・・・

アイシャ:とんでもない物?まさか、爆弾アルか!?

X:ちょ、ちょっと辞めて?言いにくくなるから。

ディーゴ:答えて下さい!

マズダー:(N)『その腹痛の正体とは!take2!』

X:げ、下痢にしただけなんだけど・・・

ナハト:ゲーリー?ゲーリーとは何だ!?

X:ゲーリー!?人の名前みたいになってるじゃん!

テオ:何て恐ろしい響きだ!きっととんでもないものですよ!

アイシャ:間違い無いネ!きっと人類の存亡にかかわるような物アル!

ディーゴ:それどころか、銀河系を吹き飛ばすような・・・

X:皆さん、分かってやってますよね?

テオ:答えろ!ゲーリーとは、どんな凄まじい現象なんだ!?

マズダー:(N)『その腹痛の正体とは!?take3!』

X:だからゲーリーじゃなくて、下痢!ただの下痢!お腹痛くなって、トイレに行きたくなるやつ!

アイシャ:・・・

ナハト:・・・

ディーゴ:・・・

テオ:・・・しょうもな。

X:うるさい!貴方達がハードル上げたせいで、変な空気になったじゃないですか!

マズダー:(N)『変な空気になった!』

アイシャ:私たちを下痢にして、どうするつもりネ?

X:だから言ったでしょう?ゲームですよ。

マズダー:(N)『Xはゲームのタイトルを発表する!』

X:名付けて!「第1回トイレ我慢大会ー!!!」

マズダー:(N)『その名も、第1回トイレ我慢大会!』

ディーゴ:ト、トイレ我慢大会!?それは一体、どんなゲームなんですか?

ナハト:いや、タイトルで大体分かるだろ。

X:皆様には、今からどれだけ長くトイレを我慢できるかで勝負して頂きます。

マズダー:(N)『それは、どれだけ長くトイレを我慢できるかを競う大会だった!』

アイシャ:何でそんな下らない勝負しなくちゃならないネ!

テオ:すいませーん、下痢止めは飲んじゃ駄目ですか?

アイシャ:ルール確認すな!お前、何でやる気になってるネ。

アイシャ:それから普通に考えて、トイレ我慢大会で下痢止めは飲んじゃ駄目だろ!それドーピングアル!

X:皆さんは、私の言う通りにする他ないんですよ。

アイシャ:思い通りにはさせないアル!ここから脱出して、お前の顔面殴り飛ばしてやるネ!

X:ハーハッハッハッ!無理無理!さっき分かったでしょう?貴方の怪力でも、その部屋の壁を壊すなんて不可能なんですよ!

アイシャ:ぐっ!

X:最後まで耐えた方は、この魔法を解除して差しあげましょう。

ナハト:・・・魔法?これは魔法なのか?

X:おーっと、口が滑ってしましたあ。

ナハト:だったら、こっちも魔法だ!「ヒーリング・ライズ!」

マズダー:(N)『ナハトは肉体強化魔法を発動した!』

X:ほほう、身体強化魔法で自己治癒能力を高めて下痢を治すつもりですか。しかし・・・

ナハト:どうしたんだ?下痢程度ならこれで治るはずなのに・・・

アイシャ:駄目アルか?

ナハト:ああ・・・まだポンポンがチクチクしやがるぜ!

テオ:その言い方、似合わないッスね。

ナハト:どうやら、かなり特殊な魔法みたいだな。時間をかければ解除できるかもしれんが、それまで俺のゲートが持つかどうか・・・

ディーゴ:ゲートって、こうも・・・(咳払い)いえ、何でもありません。

X:クックック・・・その苦痛から解放される為には、ゲームで生き残るしか無いんですよ。

X:そして、途中で脱落してしまった方々は・・・

ディーゴ:ど、どうなるんです?


➖少し間


X:アグホント中に言いふらします!「コイツ、良い歳して、「お漏らし」しやがったんだぜー」とねえ!!

X:どうです?この上ない屈辱でしょう?

アイシャ:・・・

ディーゴ:・・・

ナハト:・・・

テオ:・・・やっぱりしょうもな。

X:うるせえ!

マズダー:(N)『やはりしょうもなかった!』

X:だからうるせえつってんだろ!

マズダー:(N)『・・・あれ?』

X:何ですか?

マズダー:(N)『・・・もしかして、俺の声聞こえてる?』

テオ:当たり前じゃないですか。ずっと聞こえてますよ。

マズダー:(N)『嘘っ!?いつから!?』

ディーゴ:『密室に閉じ込められた四人の男女!誰が、何の為に彼らをここに集めたのか!?』・・・からです。

マズダー:(N)『それ一番最初の台詞じゃねえか!』

マズダー:あれ?俺、今回ナレーション担当じゃないの?「天の声」的なポジションじゃないの?

ナハト:さっきから何をブツブツ言ってるんだ?部屋の隅っこで。

マズダー:部屋の隅っこ!?俺、お前らと同じ部屋にいんの?

アイシャ:何言ってるアルか。アンタ、ずっとそこにいるアルよ。

マズダー:何で?ここ、監禁部屋でしょ?

X:ああ、皆さんを部屋に運び込んだ時、部屋の隅でオッサンが寝ていたんですが・・・面倒なのでそのままにしておきました。

マズダー:雑!設定が雑!

マズダー:おかしいと思ったんだよなあ。「あれ?この説明いらなくね?」みたいなナレーション多かったもんなあ!前の人の台詞繰り返すだけだったもんなあ!

マズダー:みんなもさあ、部屋の隅でブツブツ言ってるオッサンなんでほっとくの!?

ディーゴ:すいません、地縛霊(じばくれい)だと思ってました。

マズダー:ちゃんと生きとるわ!

アイシャ:気持ち悪かったから無視してたネ!

マズダー:ひどい!

ナハト:(キレながら)いまイジってやってるんだから文句言うな!

マズダー:何その言い草!?

テオ:貴方は下痢になって無いんですか?

マズダー:ああ、俺はアンドロイドだからな。

テオ:じゃあ貴方、何の為にここにいるんですか?

マズダー:俺が聞きてえよ!

➖少し間

X:茶番はそのくらいにして頂きましょうか。ゲームは始まっているんですよ!

アイシャ:くっ!どうすれば良いアル!?

ナハト:落ち着け、お前ら。

テオ:ナハトさん、でしたっけ?落ち着いてなんかいられませんよ!

ナハト:暴れたところでどうにもならんだろ。それよりも今は、出来るだけ動かずじっとしているんだ。

ディーゴ:どうしてですか?

ナハト:騒ぐと・・・弾みで出ちゃうかもしれないだろうが!

アイシャ:・・・

テオ:そ、そうか!確かにそういうことありますよね。そんなつもりなかったけど、しゃがんだ時にうっかりウン・・・

ナハト:辞めんか!

テオ:え?

ナハト:お前、いま何を言おうとした?女子の前で、いま何を言おうとしたあ!?

アイシャ:女子って、私アルか?

アイシャ:それからお前、しゃがんだだけで出ちゃったことがアルね?それはそれで、ちょっと心配アルよ。

ナハト:テオ!お前思わず言っちゃいそうになっただろう?「ウン何ちゃら」を!

テオ:あっ!

ディーゴ:それって、ウン・・・

ナハト:だーかーらー!言うなつってんだろうが!

ディーゴ:ハッ!すいません、つい。いつも口にしている言葉なので。

アイシャ:しょっちゅう口にする言葉じゃ無いアルよ。

ナハト:「ウン」までなら許す。だが「コ」はダメだ!良いか、絶対に「ウン」と「コ」を繋げて言ってはならんのだ!

アイシャ:それ、もう言ってるのと一緒ネ。

X:皆さん・・・何か楽しそうですね。

➖少し間

ディーゴ:この勝負、私に不利だな。元々、お腹は弱い方なので。

ナハト:俺は得意分野だな。魔法無しでも、一週間出さずに耐えたこともあるんだ!

アイシャ:それはただの便秘アル。

ディーゴ:ぐあっ!

テオ:ディーゴさん!?

ナハト:産まれそうか?

アイシャ:・・・何がアルか?

テオ:それはもちろん、ウン・・・

ナハト:言うなつってんだろうが!

テオ:す、すいません!えーっと、上品に言い換えないと・・・

テオ:そう!・・・「おババ」です!

ナハト:それならば良ーし!

アイシャ:アホばっかりネ。

ディーゴ:は、はあああ・・・!

アイシャ:変な声出すなアル!

X:どうやら、その方はもう限界のようですね。

ナハト:出すな!出したら死ぬぞ!

アイシャ:死なないアル。むしろ我慢する方が体に毒アル。

ディーゴ:お、おババが・・・おババがあ!

テオ:踏ん張って下さい!

ナハト:馬鹿野郎!踏ん張ったら、逆に出ちゃうだろうが!

テオ:そ、そうか!別の言い方で応援しないと!

テオ:えーっと・・・お、おきばりやす!

ナハト:きばっても駄目!お前、ワザとやってんだろ!?

アイシャ:気を紛らすネ!関係の無いことを考えるアル!

テオ:それはナイスアイデアです!

ディーゴ:・・・む、むかーし、むかーし、ある所に・・・

ナハト:おおっ!昔話を朗読して、気を紛らわせる作戦か!

ディーゴ:おじいさんと、おばっ・・・おばっ?・・・おババァーー!!!

テオ:ああ、結局戻ってしまった!

アイシャ:なぜその昔話をチョイスしたアルか!

X:お前らやっぱりアホだな!

マズダー:こうなったら、ケツに手でも突っ込んどけ!・・・なーんちゃって。

ディーゴ:・・・

アイシャ:・・・

テオ:・・・

ナハト:・・・

X:・・・

マズダー:えっ?あれっ?何この空気?

マズダー:今のは寒かった?ヤバい、滑っちゃったかあ。あははははは。

テオ:(舌打ち)

マズダー:・・・いま舌打ちしなかった?

ナハト:おいX!俺たちが苦しむ姿を見て楽しいか!?

X:ええ、この上なく楽しいですねえ!

アイシャ:何て奴ネ!

テオ:この変態!

X:は?何を言ってるんですか?

テオ:だって僕たちが漏らすところが見たいんでしょう?それってつまり・・・そう言う癖(へき)だってことですよね!?

X:違うわ!

ディーゴ:ああ、たまにいますよね、そういうの好きな人。

X:ちょっと!

アイシャ:ドン引きアル。

X:違うから!

ナハト:この変態!

X:やめて!

アイシャ:変態!

ディーゴ:変態!

テオ:変態!

ナハト:(四人で合唱)へーんたい!へーんたい!・・・

アイシャ:(四人で合唱)へーんたい!へーんたい!・・・

テオ:(四人で合唱)へーんたい!へーんたい!・・・

ディーゴ:(四人で合唱)へーんたい!へーんたい!・・・

➖以下、合唱続ける

X:(へんたいの大合唱の最中)違う!私は変態じゃない!!!

マズダー:へーんたい!へーんたい!・・・

➖マズダーが参加していることに気付き、他の四人は合唱をやめる。

マズダー:(ぼっちであることに気付き、段々とテンションが下がっていく)へーんたい!へーんたい!あれ?へーんたい。へーんたい。へーん・・・

➖少し間

マズダー:・・・どうして?

テオ:すいません。

ディーゴ:仲間だと思われたくないんです。

マズダー:お前ら・・・大の大人が、本気で泣いてる姿、見せてやろうか?

➖間

ディーゴ:く、くそっ!もう、私は限界のようです。

テオ:そんな!

ディーゴ:皆さんも、あまり無理はしない方が良いですよ。

アイシャ:何言ってるネ!

ナハト:おい、諦めるな!アグホント中に言いふらされても良いのか!?

ディーゴ:別に構いません。

ナハト:何だと?

ディーゴ:だってこれは、どう考えても不可抗力でしょう?下痢になる魔法をかけられた上に、出口の無い部屋に閉じ込められているんですから。

ディーゴ:誰に知られたところで、ちゃんと弁解できるじゃないですか。

ナハト:ま、まあ、確かに。

ディーゴ:私たちはXさんの口車に乗せられて、混乱していただけなんです。

テオ:なるほど、そういうことか!

X:くっ!

ディーゴ:だからさっさと皆で楽になって、ここから脱出する方法を考えましょう。

ナハト:それはそうだが・・・やはり人前で漏らすのは抵抗があるなあ。

ディーゴ:ハッハッハッ、大丈夫!皆で同時に漏らせば良いんですよ!

アイシャ:は?

ディーゴ:皆一緒なら、恥ずかしく無いでしょう?

ナハト:お前、言ってること相当ヤバいけど、大丈夫か?

テオ:よく言いますもんね、「赤信号、皆で渡れば怖く無い」って!

マズダー:それ、守っちゃいけない方の標語な。

テオ:(被せ気味かつキレ気味で)アナタは黙ってて下さい!!!

マズダー:うん、予想通りのリアクションだね!!!

ディーゴ:さあ、皆で長い苦痛から解放されましょう!そして喜びを分かち合おうではありませんか!

アイシャ:・・・

ディーゴ:ね、アイシャさんも。思いっ切り飛び散らせましょう!

ナハト:言い方がキッタネエのな。

アイシャ:・・・わかったアル!

テオ:アイシャさん?何が分かったんですか?

アイシャ:犯人は・・・ディーゴ、お前アル!

ディーゴ:・・・何を仰って(おっしゃって)いるんですか?

アイシャ:お前・・・Xの仲間アルね!

ナハト:は?

テオ:まさか!

マズダー:嘘だろ!

アイシャ:(被せ気味かつキレ気味で)お前は入ってくんな!

マズダー:だよねー!!!

ディーゴ:ちょっと待って下さいよ。私がXさんの仲間?そんなわけ無いじゃないですか。

テオ:そうですよ。酷いじゃないですか!ディーゴさんは僕たちの「下痢友」ですよ?

ナハト:そのネーミング・・・超嫌。

ディーゴ:こ、根拠はあるんですか?

アイシャ:もちろんアル。

ナハト:一体何だ?

アイシャ:それは・・・

ナハト:それは?

アイシャ:勘!

ナハト:勘かい!それ根拠って言わねえよ!

アイシャ:まず第一に、この下痢魔法をかけたのはXじゃないネ。

ディーゴ:はあ?

アイシャ:Xはただの狂言回しアル。このゲームを盛り上げる為のピエロネ!

アイシャ:そして!実際に魔法をかけた奴は、私たちの中にいるネ!

マズダー:お、俺じゃないぞ?

アイシャ:この下痢魔法を発動させるのには条件があるネ。

マズダー:ついに無視ですか!あーそうですか!そう来ますか!分かりましたよーだ!

テオ:条件?

ナハト:それは何だ

アイシャ:対象者に直接触れることアル!

ディーゴ:っ!

アイシャ:思い出すアル。私たちに不自然に接触・・・いや、ボディタッチ・・・いや、「お触り」をしてきた奴がいたネ!

X:その言い換え、必要ですか?

テオ:不自然に?

アイシャ:そうアル。

ナハト:まさか・・・

ディーゴ:『憧れちゃうなあ!握手して下さい!』

テオ:そう言われてみれば・・・

ディーゴ:『すいません、肩を貸して頂けませんか?』

アイシャ:そう、皆心当たりがあるはずネ。

ディーゴ:『大丈夫ですか?目を覚まして下さい!』

マズダー:そうか!あの時・・・

ディーゴ:『お兄さん、良いカラダしてるわねえ。さのキンニク、触っても良いかしらん?』

アイシャ:(被せて)これは全て、私たちに魔法をかける為だったアル!

マズダー:ねっ!こうなるよね!今のは「そんなシーン無かっただろっ!」ってツッコむとこなのにさ!見事にスルーされましたわ。

マズダー:いま、一つのボケが、死んだんです。

テオ:アイシャさん、根拠はあるんですか?

アイシャ:勘!

ナハト:また勘かよ!お前勘だけでよくそんな自信満々に話進められんな!

ディーゴ:いい加減にして下さい!私だって下痢になってるんですよ!?

アイシャ:そんなもん、ただの演技か、又は自分にも魔法をかけたかのどちらかネ。

ディーゴ:その根拠は?

アイシャ:(同時に)勘!

ディーゴ:(同時に)勘!言うと思いました!

ディーゴ:さっき、対象者に直接接触することが魔法発動の条件って仰いましたよね?

ナハト:「お触り」な。

ディーゴ:どっちでもええわ!

ディーゴ:百歩譲ってその条件通りだったとしましょう。でも触る機会なんて誰にでもあったじゃないですか?最初は皆さん気絶していたわけですし、その間なら皆さん「お触りし放題」じゃ無いですか!?

X:何か、いかがわしいお店のキャッチフレーズみたいですね。

ディーゴ:まったく、穴だらけどころか妄想レベルの言いがかりですね!さすがの私でも怒りますよ!

アイシャ:いや、絶対に間違いないアル!

ディーゴ:パッションで押し切ろうとするのは辞めてください!そんな理屈で、誰が納得するんですか?

アイシャ:X!答えるネ!ディーゴはお前の仲間アルか!?

ディーゴ:馬鹿馬鹿しい。

アイシャ:白状するネ!

X:は、はい、そうです。

ディーゴ:なあんでバラしちゃうのっ!?

X:だって合ってたし・・・

ディーゴ:「合ってたし」じゃねえよ!パッションに押し切られてんじゃん!!

アイシャ:えっ!合ってんの!?

ナハト:何でビックリしてんだよ!?自信なかったのか!?

テオ:やはりそうでしたか!最初から怪しいと思っていたんですよ!

ディーゴ:嘘つけ!

ナハト:俺は、昨日から怪しいと思っていた!

ディーゴ:昨日はまだ出会ってねーだろうが!

マズダー:お、俺なんか、先週から怪しいと思ってたもんね!

ディーゴ:・・・

ナハト:・・・

X:・・・

アイシャ:・・・

テオ:・・・

マズダー:・・・

X:私など、先週から怪しいと思っていました!

ディーゴ:お前は仲間だろ!

マズダー:なあんで!?「先週から」って俺のやつじゃん。俺の面白いやつじゃん!何で俺の発言だけ無かったことにされんの?

マズダー:僕は、ここにいるよ?

➖間

ディーゴ:(舌打ち)まさかこんな形でバレるなんてよ。

ディーゴ:まあ仕方ねえか。

ディーゴ:その通り、お前らの下痢は俺の魔法の効果だよ!

ディーゴ:ちなみに、下痢だけじゃないぜ。俺は、腸内環境を操る魔法使いなんだ。

テオ:何の為にこんなことを?

アイシャ:はっ!まさか、お前も変態なんアルか!?

ディーゴ:違うわ!

X:ちなみに私も違いますよ!

ディーゴ:実はな、俺はタングリスニの軍部に所属してんだよ。と言っても、まだ新参者だけどな。

ディーゴ:俺の魔法の特性に目をつけた上官がいてよ、今回の作戦を思いついたんだと。

ディーゴ:クソ下らねえとは思ったけどよ、上官には逆らえねえしな。

X:く、下らないだと!?

ディーゴ:三カ国の実力者を見繕って(みつくろって)な、俺の魔法で何ができるか、まあデモンストレーションってやつだなあ。

ナハト:そんなことの為に俺たちを・・・

ディーゴ:悪いな、俺の未来がかかってるんだ。

アイシャ:お前の未来?それは、私にボコボコにされる未来アル!

ディーゴ:(舌打ち)面倒臭えことになったな。

ディーゴ:言っておくが、その魔法を解除できんのは俺だけだぜ。

アイシャ:だったら、力づくで解除させるね!

アイシャ:セイヤアッ!(殴る)

ディーゴ:おっと(避ける)

アイシャ:(M)(避(よ)けた?私の攻撃を?)

ディーゴ:辞めときな嬢ちゃん。いくらアンタでも、下痢したまんまじゃ踏ん張りが効かねえだろ?

アイシャ:誰が嬢ちゃんアルか!(蹴りを放つ)

ディーゴ:あぶねっ(避ける)

テオ:また避けた!

X:ほう。魔法以外は役立たずかと思っていましたが、案外使えるかもしれませんね。

アイシャ:こ、コイツ・・・

ディーゴ:無駄だよ、辞めときな?

ナハト:隙あり!(死角から殴る)

ディーゴ:(避けながら)ねえよ。

ナハト:馬鹿な、完全に死角だったはず!

テオ:おりゃあー!(ディーゴの背後から攻撃)

ディーゴ:(避けながら)無駄無駄。

テオ:そんな!背後からの攻撃も避けるなんて!頭の後ろにも目が付いてるんですか!?

ディーゴ:そんなわけねえだろ。ただ俺は、こういうのが得意ってだけさ。

アイシャ:どうすれば良いアル!

ディーゴ:ま、人が漏らす姿なんて見たくねえけどよ、諦めて・・・

マズダー:ハアッ!(殴る)

ディーゴ:ごヒャアッ!(吹っ飛ぶ)

マズダー:・・・えっ?何で?何で俺の攻撃は当たんの?

ディーゴ:(ヨロヨロと立ち上がりながら)いま何が起きたんだ?何も無いところから突然衝撃が・・・

アイシャ:アイツ、何してるネ?何も無いのに勝手に吹っ飛んだアル?

ナハト:ああ、まるで誰かに殴られたかのようだった。

テオ:不思議ですねえ。

マズダー:いや、俺俺。俺が殴ったんだって。

➖少し間

アイシャ:今度こそ当てるね!ヤアッ!(蹴る)

ディーゴ:当たるか!(避ける)

ナハト:オラァ!(殴る)

ディーゴ:無駄だ!(避ける)

テオ:エイッ!(殴る)

ディーゴ:止まって見えるぜ!(避ける)

マズダー:トリャッ(殴る)

ディーゴ:グヘッ(吹っ飛ぶ)

マズダー:だから何でだよ!

ディーゴ:ま、まただ。また何も無いところから。これは一体・・・

X:何が起きているのですか?まるでその部屋にもう一人誰かがいるような・・・

マズダー:ははーん、そう言うことか。俺のことをシカトし続けた結果、遂に俺はここに居ないことになったんだね!

マズダー:(キレながら)すごいですね!俺をハブる為だけに体まで張るなんて!逆に尊敬しちゃうわあー!!!

アイシャ:うりゃあっ!(殴る)

ディーゴ:グホッ!

アイシャ:ようやく当たったネ!

ディーゴ:くそっ、謎の現象のせいで足にダメージが・・・

マズダー:謎の現象じゃねえよ。

ディーゴ:(ヨロヨロと立ち上がりながら)ま、待て。魔法を解除して欲しいだろ?だったら、俺の機嫌を損ね無い方が(良いんじゃないか?)

ナハト:(被せて)オラァッ!(殴る)

ディーゴ:ゴヘッ!

ディーゴ:(ヨロヨロと立ち上がりながら)な、何で?一生下痢でも(良いの)

テオ:(被せて)アチョー!(殴る)

ディーゴ:フグッ!

ディーゴ:(ヨロヨロと立ち上がりながら)いい加減に・・・

アイシャ:(攻撃し続けながら)オラッオラッオラッオラッ!

ディーゴ:(殴られながら)ま、マジかコイツ・・・わ、分かった!魔法は解く!だから、これ以上殴るのは辞めてくれえー!

ナハト:はーい、エルボードロップ!

ディーゴ:グホッ!何で!?魔法解くって言ってんじゃん!

テオ:はーい、フライングヘッドバーッド!

ディーゴ:げひぃ!辞めて辞めて!もうギブアップ!

アイシャ:(攻撃し続けながら)どうした!まだ降参しないアルか!

ディーゴ:だから降参するって!

ナハト:(攻撃し続けながら)何?まだ抵抗するのか、コイツ!

ディーゴ:ねえ、話聞いてる!?

テオ:ぐへへへ・・・人を殴るの、楽しいなあ。

ディーゴ:ヤバい!こいつら目がイッちゃってる!?

ディーゴ:誰かあ、助けてくださーーい!!!

➖少し間

X:皆さんお取り込み中のようですので、私はそろそろ・・・

ディーゴ:ちょっ、お前!俺を見捨てんのか!?

X:その言い方は心外ですね。我々は貴方にチャンスを与え、貴方はそれを逃した。これは全て、貴方の責任です。

ディーゴ:そんなあ!

X:ま、それなりに面白かったですよ。見せ物としてはね。

X:ほいじゃま、さようなら・・・

マズダー:・・・完璧じゃねえが、スピーカーの配線からある程度の位置は特定できる。

X:ん?貴方、何をブツブツ言ってるんです?

マズダー:最大範囲をカバーすれば、まあ何とか捉え(とらえ)られるだろう。

X:シカトされ過ぎておかしくなっちゃいましたか?

マズダー:エネルギー充填率120%・・・

X:・・・へ?

マズダー:(怒りを込めて)超マツダァァァキャノーーーン!!!!!

X:ギャアアアアアアア!!!!!

➖長めの間

アイシャ:あー、スッキリしたアル!

ディーゴ:(ボコボコになりながら)くそぅ・・・こんなハズじゃあ・・・

ナハト:おい!さっさと俺の魔法も解けよ!

ディーゴ:は、はいー!

テオ:その次は僕ですからね。

アイシャ:アンタが天井を吹き飛ばしてくれたおかげで、外に出れそうアル。

マズダー:よじ登るのは大変そうだけどな。

アイシャ:ありがとう、地縛霊のおっちゃん。

マズダー:誰が地縛霊じゃい!

テオ:今回は酷い目に遭いましたねえ。

アイシャ:全くアル。

テオ:でもね、僕にとっては、ちょっとだけ嬉しいこともあったんです。

アイシャ:何がアルか?

テオ:ディーゴさんが言ってたでしょ?「三カ国の実力者」って。それ、僕も入ってるんですよね?

アイシャ:まあ、そう言うことになるアルな。

テオ:僕はずっと、自分は平凡で面白味の無い人間だと思っていました。そんな僕がアイシャさんやナハトさんみたいなすごい人たちと同じように評価されるなんて・・・

アイシャ:何を評価されたのかは分からないアルけどな。

テオ:一介の画商に過ぎない僕にも、何かできることがあるんじゃないか、そう思えたんです。

テオ:それが何かは、まだ分からないんですけどね。

アイシャ:お前、能天気ネ。

テオ:確かに。

アイシャ:お前とは、またどこかで会えそうな気がするアルよ。

テオ:僕もです!だって僕たちはもう、「下痢友」じゃないですか!

アイシャ:そのネーミングは辞めるアル・・・

ナハト:俺を忘れるなよ。

テオ:ナハトさん!も、もちろん、ナハトさんもですよ!

アイシャ:魔法解除できたアルか?

ナハト:ああ。腹痛が直ったら、今度は腹が減ってきたな。

アイシャ:じゃあ、何か食べに行くアルか?

テオ:良いですね!

ナハト:テオ、お前はその前に、魔法を解くのが先だろ。下痢のままで飯食うつもりか?

テオ:そうでした。ディーゴさん、すいません、僕の魔法も解い・・・アレ?

アイシャ:どうしたアル?

テオ:ディーゴさんが・・・いない。

ナハト:は?

テオ:いなくなってるんですよ!

アイシャ:そんな馬鹿な!一体どこに・・・って、こんなとこに穴空いてたアルか?

ナハト:どこだ?

アイシャ:そこの床アル!

テオ:本当だ・・・隠し扉みたいです。

ナハト:これが、この部屋の隠されていた出入り口なのか。

テオ:まさか、ディーゴさんは・・・

マズダー:あいつなら、そっから逃げてったぞ。

テオ:ええっ!

アイシャ:アンタ、何で黙って見てたアルか?

マズダー:だってえ、俺の言うことなんてえ、どうせ誰も聞いてくれないしぃ。

アイシャ:いじけとる・・・

テオ:ぼ、僕は、どうしたら良いんでしょうか!?

ナハト:このままじゃいつまで経っても下痢は治らないわけだからなあ。ディーゴを追いかけて行くしか無いんじゃないか。

テオ:どこへ?

ナハト:タングリスニ。

テオ:そんなああああああ!!!

➖間

マズダー:(N)『その後、テオはタングリスニで何とかディーゴを見つけ出し、魔法を解いてもらったそうだ』

マズダー:(N)『ディーゴとは色々あったものの、何やかんやウマがあったようで、そのままタングリスニに居着き、画商として生活している』

マズダー:(N)『テオが、アグホントでも名うての情報屋として知られるようになるのは、もう少し先の話である』

マズダー:(N)『またディーゴは、今回の失態で立場を危うくしたが、稀有(けう)な魔法の才能に目をつけた皇族ベリリの取りなしにより、軍をクビにならずに済んだ』

マズダー:(N)『その後、ベリリ直属の配下になったという』

マズダー:(N)『ちなみにベリリの部下になることが決まった際、ディーゴはこうつぶやいた』

ディーゴ:『クビになった方が、まだマシだった・・・』

➖間

マズダー:(N)『かくして、「第1回トイレ我慢大会」は、狂乱の中、幕を閉じた』

マズダー:(N)『彼らのこれからの運命は如何に!?・・・第2回大会に続く!』

➖少し間

アイシャ:(同時に)二度とやるかあー!!!

ナハト:(同時に)二度とやるかあー!!!

テオ:(同時に)二度とやるかあー!!!



➖おわり

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