Aguhont Story Record 12th Episode

『Hush-hush meeting』 

作:野菜 

(1:1:3) ⏱20分 

 

・テルエス 男性 北の軍事国家、タングリスニの皇族。

才はあるが、その冷酷さでリーベルのエリスと因縁がある。ちょろいお子様と交渉慣れしてなさそうなお嬢さん相手なので、悠々とお茶を飲みながら会話をしている。

・リア 女性 エルフ。西の国、リーベルの皇族エリスの代わりに来た。

普段は占いが好きな穏やかお姉さん。国とエリスを守るため来ているので、少し緊張している。

・バロウズ 人間のおとこのこ 南に位置する国家、バルナの皇族。

偉そうなことを言う子だが、結局はまだお子様である。権力があるだけ厄介。

・ティアン 性別不問 どこの国にも属さない観測者。

戦いを見届ける猫耳獣人。こっそり茶化しに来た。あくまでこっそりである。

・マズダー 男性 各国の戦いを見届ける観測者。

人間を装うアンドロイドのおっさん。奥の手に『超マツダキャノン』を有するらしい。

名前のみ登場

・ミケ 猫になれる獣人の少年。リーベルからバルナへ。

放浪癖と収集癖が酷く、各国のなんかかっこいい封筒とかきらきらの紙をコレクションした結果、バルナの兵に追い回され、捕獲された。バルナでお留守番。

・ティーナ タングリスニからバルナへ。方向音痴のハープ奏者。エルフ。

リーベルとタングリスニの間で道に迷っている最中、襲われているミケを見つけ、かばいに入った。ミケをよしよししながら一緒にバルナに連行される。バルナでお留守番中。




ーー天井の高い、古い石造りの元監視塔、二階。バルナがギリギリ領土と言い張るタングリスニとの境の森の中の……どこか。


マズダー:カン、コトン、と。盤上を動く、ゲームの駒。


バロウズ:あっれえ、これぼく負けてない?

テルエス:そうだね、5分ほど前からかな。

バロウズ:言ってよおそういうの。

テルエス:それくらい自分で気が付きなよ。

バロウズ:それはそう。


ティアン:静かに、緊張した面持ちでそこに現れるのは、金色の髪を揺らすエルフの軍人。


リア:招待いただいたお時間に、遅れた覚えはないのですけれど。

バロウズ:遅れてないぞ!まだ20分前だから!

テルエス:先に子供の相手をしていただけだとも。

バロウズ:ん?大丈夫だぞ、テルエスは立派な大人だ。

テルエス:ああ、もちろん。

リア:……それならいいのですが。ご用件を。さっさと終わらせてしまいませんか?

バロウズ:たしかに、時候の挨拶をするような場じゃないからね。はーいお姉さん、座って座って。リーベルのエリスさんの代打さんだったかな?

リア:ええ。こんな場所で三国の密談なんて……。あまり、安全ではありませんからね。


マズダー:リアの視線からは、テルエスへの警戒が見て取れる。


テルエス:マリシの方々が寂しくて泣いてしまうね?のけものにしたバルナは危険かもしれない。

バロウズ:やだなー。バルナは安全だってば。たまに爆発とかけんかとかあるけど。

リア:安全の基準を再度聞きたいものですね。


ーー 一方、3人の数メートル真上。頭を突き合わせ、崩れかけの天井裏から様子をうかがうティアンとマズダーがいた。


ティアン:さあ始まりました、バルナ・タングリスニ・リーベル、ぐちゃどろの密談!魔法や武器で殴り合うには狭そうな会場ですね、解説のマズダーさん。

マズダー:俺が解説ってこたぁ、そっちは実況かなんかですかい、ティアンさん。

ティアン:そう。実況はわたくしティアンでございます。我々観測者、気配を消し、防音の秘術をもってしてですね。

マズダー:そこまでして盗み聞きを……。

ティアン:いやだってしょうがないじゃん。もう盗み聞きするしかないって。バルナ兵がミケを捕まえるところ、観測するの間に合わなかったんだから!

マズダー:ケーキ屋にはまってたもんな、おまえ。

ティアン:ちゃんと観測者やってたけど?そういうおっちゃんはなにしてたのかなあ?

マズダー:あぁん??

ティアン:おぉん??


バロウズ:手紙で伝えた部分は覚えているよね。バルナに猫の姿をとって侵入した少年が機密文書を持ち逃亡。それを捕獲した。リーベルの国の子だったよ。あとはその子をかばったタングリスニのティーナという子も連行した。OK?

リア:その盗難に関して、リーベルの国は関与していません。個人の犯行です。

バロウズ:うん、ミケくん本人からも個人のコレクション目的と聞いている。

リア:しかし何故、タングリスニの民が?共犯だったんですか?

バロウズ:ううん。優しい人みたいなんだよねえ、ティーナちゃん。ミケくんとは見ず知らずだろうに、「まだミケくんは子供なんですよー」って、ついてきたんだ。

テルエス:まったく、ほいほいと民をさらわれては、困るんだけど?

バロウズ:あ、今回捕まえた2人はともかく、他の人は観光に呼んでるだけだから、心配いらないぞ。

リア:その言い方だと、今回が初めてではなさそうですけれど。

テルエス:疑う訳じゃないけれどね。うちの使用人が消えたんだが、何か知らない?

バロウズ:ええ、どの子のことだろ……たぶん元気なんじゃない?

テルエス:イタロって言うんだけれども。

バロウズ:ちょーげんき!ケーキ食べてる!

テルエス:そっかー。


ティアン:あっ、おっちゃんの相手してる場合じゃない。

マズダー:いくら石造りの防音しっかりした建物だからってな、あんま騒ぐんじゃねえぞ。

ティアン:おっちゃんこそ、斜め後ろの、その辺。ヒビ入ってんだから踏み抜いたりしないでよ?

マズダー:踏み抜くほど重量ねえよ、さすがに。タマだの魔法だの撃ち込まれりゃ話も変わってくるが……。

ティアン:ちょっと狙撃とか遠距離の武器を中で使うのは無理だね、この狭さじゃ。ここは元々、ただの古い監視塔だっただけだし。

マズダー:さて、向こうさんも本題かね?


ーーカバンからいくつかの封書を取り出すバロウズ。


バロウズ:とにかく、ぼくの金庫から何枚か機密持って行ったからね。暇そうなバルナ兵におやつをあげて、追いかけてもらったんだ。タングリスニも間近、といったところまで逃げられちゃったけど、捕まえた。

リア:それで、2人はどちらに?

バロウズ:連れまわすのも、ってことでバルナの涼しいお部屋でお留守番してるよ。それもあるんだけどねー……。これ、リーベルの機密情報でしょ?


ティアン:あれは……リーベルの封書ですね、魔法による軽い封印がかかっています!

マズダー:魔法で封をするような重要書類……そう考えて間違いないでしょう。


リア:中を、ご覧になって?

バロウズ:ううん。さすがにこの封印を解くにはリーベルの中に入らないと無理だね。見たかったけどさ。

リア:そうですか。ご丁寧に盗品を返してくださるのですか?

テルエス:ありがたいことだ。どれ……タングリスニのものも混じっているね。


ティアン:あー、ちょっと遠いな…おっちゃん、読める?

マズダー:タングリスニの印が入ってんな。リーベルのほどじゃねえが、こっちも魔法防御付きだぜ、こりゃあ。


バロウズ:なんかぼくこのお手紙の送り主、見たことあるよ?テルエス知り合い?

テルエス:知り合い……。ちょっと嫌がらせとか嫌味を言われるくらいの、知り合いだね。……宛先はそれぞれ別だけど、ふうん、なるほどね。


ティアン:反テルエス派の貴族ですね。たまに騒ぎを起こしてる……。

マズダー:そんな奴の手紙……テルエスとしては手にすれば証拠品、物証として魅力的に映ると思われます。


リア:そちらの地図。リーベルの森ですね?そちらは?

バロウズ:これもぼくのじゃないかな。もらっていい?これあったら潜入するのらくかも!

リア:返してくださいね?うちの郵便局回りで騒ぎがあった時の……貴重な霊薬が使ってあるんです。

バロウズ:大丈夫!返すために呼んだんだから!あ、こっちのふたつはバルナのだから、これで全部かな。

テルエス:バルナは何を盗られたんだ?わざわざ兵を駆りだして、国境近くを追いかけっこしたんだ。さぞ、面白い情報なんだろう。

バロウズ:えっとね、僕が出入り禁止くらっちゃった会議の、出禁リスト。

テルエス:(笑って吹き出し、むせる)


ティアン:都市伝説じゃなかったんですね。


バロウズ:リスト見ないと、うっかり見に行っちゃうんだよねえ。いっぱいあってさあ。

リア:あなた、仮にも……。

バロウズ:そうなんだよ!失礼しちゃうよね!あとは「マツダキャノン量産の予算案」とか盗られちゃってさ。


マズダー:(動揺し奇声をもらし姿勢を崩す)


テルエス:なんか、聞こえなかった?

リア:聞こえました。もう~ネズミですよ、ネズミ。


ティアン:(小声)猫だよ。


バロウズ:もう監視塔として使ってないから、誰か住み着いちゃったかな?

テルエス:ネズミの出せる音ではない。浮浪者ではないのか?

リア:場所を変えますか?

バロウズ:でも、こんだけ天井高かったら聞こえなくない?

テルエス:確かにあの位置から聞き耳を立てるのは並大抵の人間には難しいな。……問題はないか。


ーー視線を机上に戻し、話を再開する3人。


バロウズ:あー、分かってると思うけど、この盗品の機密文書、普通に返す気はないから。

テルエス:それはそうだろうとも。

リア:お金ですか?それとも今更婉曲的に駆け引きをするおつもりですか?

バロウズ:ちょっとぼくそういうの向いてないからさ、もう聞いちゃおっかなって。

リア:と、言いますと?

バロウズ:君たちは、その機密文書と引き換えに、何をバルナに差し出せる?

テルエス:ほう、こちらで決めていいとは。寛容なことだ。

バロウズ:そうだよそうだよ、感謝したまえふっふっふ~。

テルエス:タングリスニから、冬に雪を持っていくといい。送料、人手はバルナ持ちでね。


マズダー:雪かきさせるつもりだな、テルエス。


テルエス:上限は……まあ、50トンくらい好きにしていい。


ティアン:軽い公共事業みたいですね。


リア:……お二人は、ふざけているんですか?

バロウズ:雪に関しては、意外といいかもしれない。保存をどうするかだけど、交易品として氷菓子とか保存用の氷ってかなり優秀なんだ。こちらで回収作業を受け持っても、利益出すぎちゃうかも。

テルエス:では、また雪の時期に改めて話を詰めるとしよう。バロウズはどうせ、議員や大人たちに了承もらわないとだろ?

バロウズ:うん、運送路とか人手の確認もいるからね。……リーベルは?何を出せる?

リア:……私の、一存では。

テルエス:代打とはいえ、今の貴女なら可能では?

バロウズ:そうそう、教えてよ。君にとって「要らない」ものってなに?犯罪者の捕虜、危険な土地、それとも外聞?

リア:先ほどからおとなしく聞いていれば、ずいぶんと、口が悪いのね。

バロウズ:公式の場じゃない、極秘取引だもん。問題ある?あ、じゃあじゃあ、逆に譲れないものは?人民?森?大事なだいっじなエリスちゃんかな?


ティアン:見上げたことでは決してないですが、テルエス、バロウズはこういったやりとり慣れていそうですね。

マズダー:唯一の良識人としては、分が悪いでしょうかリーベル。


リア:バロウズ君。


ティアン:リア、立ち上がります!これは戦闘か!開戦か!?


バロウズ:んん?なになにー?


マズダー:テルエスの前を通過し、バロウズの前へ……しゃがんで……これは、膝をつき、目を合わせました!

ティアン:なんだ、魔法か!?


バロウズ:……なにさ。

リア:バロウズ君。君は確かにお仕事をしていて、大事なことを決めないといけません。でも、それは、年上の、他の国の初めましてさんに、ひどいことを言っていい理由にはなりません。

バロウズ:…………テルエスー。

テルエス:僕も、年上の、他国のお客人だ。

リア:乱暴な言葉遣いで、お客様に酷いことを言うのは、いいことですか?やらないほうが、いいですよね?

バロウズ:……はい。

リア:だから、せめて、「さん」と「ですます」は頑張りましょうね。ほら、私は?

バロウズ:リアさん。

リア:そう。あれは?

バロウズ:テルエス。

リア:私や他の人がいる時は、非公式でも「さん」をつけるの。ほら、あれは?

バロウズ:テルエスさん。

リア:そう、かっこいい紳士を目指しましょう。

テルエス:僕のことさっきから「あれ」呼ばわりしてない?しれっと貴女に嫌われてるような……。

リア:いいえ、気のせいですとも。ね、バロウズ君。

バロウズ:うん!……うん?はい?


ティアン:なんか、争いにはならなさそうですね。

マズダー:良識人の勝ちかねえ。


リア:バロウズ君はちょっと失礼なこと言っちゃいましたね?私に怒られてしまうかもしれません。

バロウズ:わ……ごめんなさい?

リア:疑問形ですか……追々、慣れていきましょう。私はお姉さんですし、リーベルは優しい国なので、封書と地図返してくれたら内緒にして、許してあげてもいいですよ。

バロウズ:テルエスさん!ぼくなんか言いくるめられてる気がする!

テルエス:紳士はレディのわがままを聞くらしいよ。

バロウズ:ええ……テルエスさんまでそう言うなら……。

リア:決まりですね。こちら、2点、確かに受け取りました。


ーー各国からコレクションされた機密文書がそれぞれの元に戻る。


バロウズ:……そういえば、テルエスさんって、他の人呼び捨てにしてなかったっけ。

テルエス:そりゃ、部下や仲間はね。

バロウズ:テルエス!!!

テルエス:はっはっは、タングリスニに来て部下になる?

バロウズ:やだ!まだバルナで遊ぶ!


ティアン:そういえば、なんかさっき出てたバルナの予算案……。おっちゃん、何か外注したの?

マズダー:してるかバカ。なんで奥の手の名前だけ一人歩きしてるのか、俺が聞きてぇよ。アレは量産するもんじゃねえよぉ……。

ティアン:ちっちゃいおっちゃんに似た機械兵でも作るのかな?(笑い始める)……ちっちゃい……おっちゃんの……大群?ぷふ、ふ、ふふっ……。

マズダー:あ、おい、気を抜くな。バロウズはともかく、他は魔法使いと戦闘慣れしてる軍人だ。気配が、


テルエス:…………バロウズ。天井裏に誰か、やはりいるようだ。


ーー3人はそれぞれ椅子から立ち上がり、ティアンとマズダーの位置を見上げる。視界には映らないが、魔法の扱いや戦闘に慣れているテルエスとリアであれば、現れた気配がすぐ消えたことに違和感を覚えるだろう。


バロウズ:やっぱ、人っぽい?

リア:少なくとも、厄介ですね。妙に気配の隠し方が上手いかと。

テルエス:スパイ……。マリシかな?それとも……。

リア:どなたであれ、今までの話を盗み聞きできるくらいのプロとお見受けします。

バロウズ:まあ、機密文書を音読したわけじゃないし、良くない?

テルエス:いや、こういうのはね。仕留め……じゃなくて、捕まえて尋問した方が有益だ。

リア:穏便にお願いしたいですね。撃ち落としていただければ、催眠などお手伝いできますよ~。

バロウズ:捕虜の件も話ししちゃいたかったけど、そこは後日かなあ。とりあえず、バルナで衣食住与えておくね。

テルエス:しばらくはバルナ預かりでかまわない。……盗品が見つかっては、さすがにね。

リア:リーベルの民は、丁寧に扱って、帰る助けをしてあげてくださいね?

バロウズ:帰りたくなくなるくらい、バルナを楽しんでもらうよ!

テルエス:よし。終了。ネズミ狩りといこう。

リア:まったく、警備体制はどうなっているんですか?

バロウズ:他国と密談をする場だよ?ちゃんと考えてここを選んだってば。

リア:現に侵入してる方がいるじゃないですか。

バロウズ:盗み聞きは考えなかったなー。戦闘してもいいように、とは思ったんだけど。

リア:どうみても戦闘にも向いてませんよここ。

バロウズ:でもここなら、全壊させても怒られないよ?

テルエス:それはいいことを聞いた。

バロウズ:テルエスがちっちゃい大砲持ってる!!

リア:は?


マズダー:あ?

ティアン:なんて?


リア:……なんですか、それ。

テルエス:ただの爆弾の投擲補助だよ。まだ名前さえない。しかし町の有象無象に打ち込むよりも、石造りの拠点にあてた方が、命中精度も威力の増強も分かりやすいだろう。

バロウズ:すっげえどうなってんの?

テルエス:秘密だ。

リア:分かっていると思いますけど、撃たないでください?こんな室内で爆弾なんて。

テルエス:ちゃんと安全装置がついてる。自爆なんて間の抜けたことになっては困るからね。びっくりしてくれるかなと思って出しただけ。

バロウズ:なんだ、つまんないの。

テルエス:後ほど、外から撃ち込んでもいいかな?この建物、壊してもい……


ーーテルエスが話しながらプチ大砲を外し、先を天井に向け抱きなおす。その衝撃でカチンと音がすると、安全ピンの抜けた爆弾が天井裏に飛んで行った。天井のヒビ、マズダーの斜め後ろの位置に挟まる。


テルエス:…………あー、壊しても、いいと言っていたよね?

バロウズ:カチンって聞こえたよ。

リア:なにか飛んでいきましたよ、天井裏に。

バロウズ:爆発だ!

リア:今は撃たないと言いませんでしたか?

テルエス:自爆する前に、安全装置を改良することにするよ。


ティアン:あばーーーー!!

マズダー:わーーーーー!!

ティアン:散!散!かいっさーーーん!!


ーー倒壊した、元監視塔。ぱんぱんと埃を払い、何事もなく立ち上がるテルエスとリア。


リア:逃げましたね~。ネズミさん。

テルエス:あの隠密能力、撤退の速さ…我が国の兵力にぜひとも欲しいね。

リア:そんな風にしか人を見ることができませんの?

テルエス:こんな見方だって、できるのですよ。……バルナのお子様も逃げたかな。

リア:マフラー踏んでおいて何をおっしゃいますか。がれきの下ですよ。

テルエス:やれやれ、実戦経験が足りてないのかな?降ってくる屋根くらい避けないと。

リア:普通無理です。

テルエス:貴女も避けたじゃないか。

リア:……ただ幸運なだけですよ。

テルエス:バロウズ、……起きろバロウズ。あー、息はあるが、気絶してるな。残念。

リア:私しかいないからって、気を抜きすぎでは?

テルエス:そんなことないとも。……ああ、森の奥から、各国のお迎えが到着だ。


ーー様子をうかがっていたバルナ、タングリスニ、リーベルの馬車が近づいてきて止まる。リーベルの紋章付の馬車に乗り込む直前、リアが言い放った。


リア:タングリスニ、バルナのどちらも目を離すなと、報告させてもらいますから。

テルエス:お手柔らかに。



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