『干渉コード:Bought or Stolen』
作:よぉげるとサマー
(1:2:2) ⏱80分
■キャラクター紹介
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※ 前提として、最小5人台本です。
キャラ名( ):
の台詞は、キャラ名の方が全て担当。
商人のみ、ヴェールに兼役頂く想定での最小5人です。
ただ、本作出演のキャラクターはキャラ名( )含めて、10項目で紹介を記載しております。
台詞のバランスを考えて、兼役を適宜振り分け、お好きに人数調整をして演じて下さればと思います。
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ヴェール:
バルナ国 近郊の森で防具屋を営む女エルフ。
かつては戦いの日々に身を投じていたが、いまではボケジジイに絡まれる日々を送っている。
ナキオ:
元軍人の隠居老人。
ボケ改善の為も兼ねて、新たな刺激を求め、趣味を増やしている。
健全な精神は健全な肉体に宿る、という言葉の下、バルクアップに勤しんでいる。
ネコ:
タングリスニ国 軍部所属のネコ型じゃないアンドロイド。
ようやくの国外任務により、ネコ耳とメイド服をパージできた。
まだ義体の見た目に慣れないのか、鏡や反射物の前で立ち止まり変なポーズをしていることが多い。
ネコ(潜入用義体):
猫獣人を模した義体。潜入用なので外観だけではアンドロイドとは分からない。
潜入時は本来の声と性格を少し変化させるようにしている。
ネコ(博士):
義体をハッキングされ、リモートで操作された状態。
一時的にネコの人格形成プログラムをスリープさせ、義体の眼球カメラと擬似声帯を通してコミュニケーションをリモートにて行っている。
ネコがマリシ国にいた頃からの同僚である、タングリスニ国軍部所属の自称天才のクズ人間が中身となる。
ティアン:
所属不明の謎獣人。
歴史の見届け人として暗躍しているようだが、結構人目につく。
二つ対になっている双剣には、何かしらのつよつよパゥワァが秘められいるとかいないとか。
煽りが上手い。買い物下手疑惑がある。
479:
タングリスニ国 軍部にて開発されている人工知能。虫型機体『戦略兵装-多脚六型:七星』(せんりゃくへいそう たきゃくろくがた ななほし)や鳥型機体『戦略兵装-双翼ニ型:鶫』(せんりゃくへいそう そうよくにがた つぐみ)を義体化し軍事作戦をサポートする。
が、今回は様子がおかしい。
ちなみに鶫は飛行能力に特化した機動性重視の機体で、体積も小型な為、隠密作戦に利用される場合が多い。
兵装もサポート的な物が基本であり、重量制限がシビアな為、殺傷能力が低い物しか積めない。
479(e53):
479の操作する義体、鳥型機体『戦略兵装-双翼ニ型:鶫』(せんりゃくへいそう そうよくにがた つぐみ)へのハッキングし、コントロール件を奪った謎の人物(?)。
特徴的な笑い方と喋り方をしており、性別も不詳である。
479(博士):
479の操作する義体、虫型機体『戦略兵装-多脚六型:七星』(せんりゃくへいそう たきゃくろくがた ななほし)の操作権を正式に借りて、通信している状態。
ナナホシ型に擬似声帯は無く、内蔵スピーカーより通信音声を流している。
中身はタングリスニ国 軍部所属の自他共に認めざるを得ない稀代の超大大大天才、ギャギャギャリアン・ヴェルナヴァンド(名前)である。
商人:
バルナ国 首都の裏通り、闇市にいた商人。
老人のようだが、フードを深く被っており、性別や見た目は分からない。ただ、人の形をしているのは、確かだ。
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*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都近郊の森/ヴェールの防具店/
ナキオ:
……どうですか、先生。
ヴェール:
うーん……とりあえず、その先生ってのやめてくんない?
ナキオ:
いやいや、先生は先生ですからのぅ。
ヴェール:
そんなん言われる程のことしてないって。
ナキオ:
ほっほっほっ、いやはや。
やはり「賢者は己を誇らない」とは、真実ですな。
ヴェール:
今度は賢者になったし……本当、やめてくれ。
ナキオ:
それはさて置き。
ワシが作ったこの革鞄(かわかばん)。ご講評をお願いしますよ。
ヴェール:
……アンタだけだぞ、革細工教室以外の日に図々しく押しかけて来るの。
ナキオ:
ほっほっほっ、こんな老人までもを魅了してしまうなんて。
いや、職人の技とは、罪深い物ですなぁ。
ヴェール:
そこまで評価される物作れてるかねぇ……というか、教室だって、子供の為に開いてるんだから……私から見たって、子供扱い出来る年齢じゃないぞ、アンタ。
ナキオ:
良いじゃないですか。あんまり盛況じゃないのですから。
ヴェール:
うるせぇなっ! はぁ……1番参加してるアンタを怖がって寄り付かないんじゃないかい?
ナキオ:
ほっほっほっ、こんな好好爺(こうこうや)を前に、何をおっしゃるやら。
ヴェール:
いや、アンタ全然イカついからな?
あと、革細工作り始めると殺気みたいなの出てるからな?
あれ、本当に。やめてくれ?
ナキオ:
うむぅ……武器を握ると、つい。
ヴェール:
ハンマーも針も、細工用ので、武器じゃねぇんだよ!
ナキオ:
オヌシ、ワシを舐めておるな……?
どんな物でも、闘いとなれば、武器にして見せようぞ。
ヴェール:
革細工は、闘いじゃねぇだろが!
ナキオ:
はい。すみません。
ヴェール:
ったく……まぁ、いいや。見せてみなよ、それ。
ナキオ:
……ん?
ヴェール:
……ん?
ナキオ:
……なんじゃったかの?
ヴェール:
ボケてるぅー!
アンタが作った革鞄見てくれって話だったろうがーい!
ナキオ:
(※無駄に深刻そうに)
はっ……そうじゃ……思いだしたっ。
あれは、いまから60年前の出来事じゃった……。
ヴェール:
やめて。聞いてもいない話を続けないで。
ナキオ:
タングリスニの悪政下、ひとりのエルフの娘が囚われており、酷く辛い労働と拷問を受けておった……その頃、ワシは軍部の将校をしており……。
ヴェール:
やめろって! 聞きたくなっちゃうって!
今回そういう話じゃないでしょ、じいちゃん!
ナキオ:
……なんのぉ、話じゃったかぁ……。
ヴェール:
ボケてるぅー!
聞きたくないって言いつつ、ちょっと続けて欲しかったのにー!
ボケが来たー!
あー、どんな話だったんだろうなー!
ナキオ:
まぁ、そんなことより、さっさと革鞄見てよ。
良い加減、長いって。
ヴェール:
クソジジイ……!
ネコ(潜入用義体):
カランコロンカランコロン……邪魔するよぉ。
ヴェール:
そんな鳴物(なりもの)は、うちのドアにゃついちゃいないぞ。
てか、準備中なのに入ってくるなっ!
ネコ(潜入用義体):
鳴る物が無いから、ご丁寧に口から鳴らしてあげたんだよー。
あと、邪魔するよぉって言ったんだから、邪魔になるのは当たり前なんだよなー。
ヴェール:
ご丁寧に説明してくれてありがとよ。
邪魔だ、帰れ。
ネコ(潜入用義体):
ひっどーい! 来たばっかだよっ!
ナキオ:
ほっほっほっ、元気が良い子じゃのう。先生のお友達ですかな?
ヴェール:
知らん、誰だお前。
ナキオ:
初対面ぇん? えぇ……仲良さそうだったじゃぁん……。
ヴェール:
私の知り合いに、生きてる獣人は少ないんだ。知らないねぇ。
ネコ(潜入用義体):
私は、クライドヌ。よろしく。
ヴェール:
クラ? え? 呼びにくっ。
ネコ(潜入用義体):
まぁ……クライって、呼んで。
ヴェール:
そうかい。私はヴェール。
ここの防具屋の店主だ。
よろしくな。帰れ。いますぐに。
ナキオ:
ちょ、ちょっと、先生。
その態度は、あまりにも可哀想すぎませんかのう……。
ネコ(潜入用義体):
えぇ、ワタシも先刻からそう思っていました。
あまりにも、とりつく島が無い。
まだ何もしてないのに、店に入っただけなのに。
ヴェール:
ずけずけと知らねえ奴が、入んなって書いてあるとこに侵入してきたら、追い返すが吉(きち)。
可笑しな奴を相手にする趣味も寿命も無いんだよ、こちとら。
ナキオ:
おぉ……思っている以上に警戒しておる……元軍人で良いとこまで行ったワシより、リスク管理出来ておる……これが若さか。
ヴェール:
だーから、アンタより年上だっての!
ネコ(潜入用義体):
……あははっ、まいったなー、こんなに警戒されるとは……予想外だよ、ヴェール。
ヴェール:
てめぇ……何の用で来たかは知らねえけどな……私の店と作品に傷ひとつでも付けやがったら……。
ナキオ:
ふおぉ……職人の怒り方じゃ。カッコ良。
ヴェール:
きっちり、全額弁償して貰うからな!
ナキオ:
商人の怒り方じゃった!
ネコ(潜入用義体):
ふふっ……しょうがないね。じゃあ……。
ナキオ:
この感じ、こやつも手練れ(てだれ)じゃな。
闘いとなれば、ワシが身を挺(てい)してでも……。
ネコ(潜入用義体):
せっかくはるばる来たのに、営業してないから、めちゃくちゃガッカリしたけど。
中に人が居たから、ラッキーってテンション上げて入ったら、普通に怒られたから……ちゃんと次は、営業してる時に来るね……。
ナキオ:
ただの客じゃったぁ! しかも、ちょっと迷惑な!
ヴェール:
……おい、待てよ。
ネコ(潜入用義体):
……何かな?
ナキオ:
またもや剣呑(けんのん)な雰囲気じゃ……何かに気付いたのか、先生!
ヴェール:
お客様だったんならぁ、先に言って下さいよぉー!
いやぁ、どうぞどうぞ、見てって下さぁい!
あ、お茶でも飲まれますぅ?
ナキオ:
へりくだったぁ!
そうじゃあ! 先生、金に困ってるんじゃったぁ!
ネコ(潜入用義体):
えっと……金なら、ある!
ヴェール:
ははぁーっ!
ナキオ:
ひれ伏したぁー!
先生、そんなことより、ワシの鞄を見て下さいよぉー!
ヴェール:
うるさいっ!
縫製(ほうせい)時に力が入り過ぎてる部分が目立つけど、革模様の付け方が、お洒落(しゃれ)なのと、教えたことを活かせてるから、75点っ!
ナキオ:
え……トゥンク……ちゃんと、見てくれてる……んもぅ……せんせぇ。
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*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都近郊の森/ヴェールの防具店の側/
479(木の上):
うーん、強引に入って行った……出だしから心配ですねぇ。
大丈夫でしょうか、ネコさん……ダメな気はしていますが。
ティアン(茂みの中):
うーん、あいつ突撃してったなぁ……クローズって札読めなかったのか?
いやぁ……んな訳無いよねぇ。やっぱり、ヴェールが狙いかなぁ。
479:
やはり、ナナホシ型でリュックに擬態して、付いて行くべきだったかもしれませんね。
鶫(つぐみ)型だと、フォローが難しい。
なぜ博士は、ネコさんにネゴシエーションのようなことをさせたのでしょうか……どう考えても、向いていない。
ティアン:
やっぱり、こっちも店に入った方が良いかなぁ……いや、干渉(かんしょう)し過ぎになっちゃう?
でもなぁ、流石に中の様子を伺うのも、こっからじゃあ難しいよねぇ……。
くっそぉ、たまには隠密に徹しろとか、おっちゃんが、くどくど言うから、面倒なことになってんぢゃん……うあぁ、店に突っ込みたいぃ。
479:
この義体では、戦闘の補助は出来ても、戦闘力になることは難しいですし。
ここまで離れていては、碌(ろく)なことが出来無い……。
店の窓際付近までくらいは近付いた方が……でも、私のサポートは今回ネコさんにバレてはいけないと博士から言われているし……。
いや、そもそも作戦が失敗するリスクを放置している方が問題では?
タングリスニの国益を損なうことは、博士ですら望んでいないでしょうし……。
しかし命令違反に……いや、総合的に判断すると、これはむしろ正しい選択なのでは……?
ティアン:
てかさぁ、ちびっと音だけ聞こえたって、状況良く分かんないって。
やっぱり、記録に残すなら、リアルな体験ぢゃーん?
ヴェールの店に突撃するべきだよ、そう思うよねぇ?
(※以下、適宜、声音を変えて)
うん、僕もそう思うー。
私もー。俺もだー。
そうだそうだー。これは民意だー。
うむ、皆の意見は良く分かったぁ。村長のワシも、そう思うぞいっ。
(*声音を戻す)
あちゃー、村長もそう思ってんなら、ダメだー。こりゃ、行くっきゃないねっ。
479:
博士も、おっしゃっていました。
やって良いか迷った時はやるべき。
やって怒られたら、無視すれば良い。
しつこければ、謝っておけば大概セーフ、と。
ティアン:
おっちゃんに、まぁた『お小言(こごと)』言われんのは癪(しゃく)だけどぉ。
そもそも、自分たちの目的や使命を忘れちゃいけないんだよ、そもそもねぇ。
それに、誰しも向き不向き、十人十色、千差万別……あ? 何言おうとしてたっけ……。
えぇー……あぁ……ま、まあ、なんか、そんなんあるぢゃんねっ?
つまり、そゆことよっ。
479:
ふぅ、論理的思考が出来て良かった。
危うく作戦の成功率を、著(いちじる)しく下げるところでした。
ティアン:
あぁ、スッキリ解決して良かったぁ。
おっちゃんのオッサン臭い説教で、自分の良さを見失うところだったぁ。
479:
では、行きますか。『飛行(フライト)機構』起動。
ティアン:
んじゃ、とーつげきー。よぉーっこらせーい。
479:
ん?
ティアン:
あ?
479:
……あ、ここら辺のぉ……方、ですか?
ティアン:
……えっと……まあ……。てか、え、鳥? ん? 機械?
479:
えっとぉ……これは鹵獲(ろかく)するべきかぁー……どうしましょっ……うっ!?
ティアン:
え、なにっ?
479:
こ、れ……なん……エラー……どう……。
ティアン:
えー、なになに? どうしたのさ、出会って突然……え、びっくりして壊れたとか?
479:
ユーザーログアウト。別名ユーザーにてログインが試行中……ログインに成功しました。
ティアン:
これは……嫌な予感だねぇ……。
479(e53):
……うぅーん……コントロール奪取(だっしゅ)、成功。
てなわけでぇー……拘束バンド、射出ぅ。ポチィッとぉっ!
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*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都近郊の森/ヴェールの防具店/取扱い商品紹介/
ヴェール:
でー、これなんかどーよ? 黒龍石(こくりゅうせき)をベースに鍛(きた)えたナイフだ、綺麗だろ?
ネコ(潜入用義体):
へぇ……いいね。綺麗な仕上げだ、グリップの握りも馴染みやすいように工夫されてる……切れ味も良さそうだね。
ヴェール:
あぁ、その点もお墨付きさ。果物も硬い根菜も、スパーっと切れるよ。
ナキオ:
えっ、その見た目で料理用なのですか?
ヴェール:
うーん……兼用かな。
ネコ(潜入用義体):
兼用とかあるんだ……。
ナキオ:
まぁ……サバイバルナイフ的な物ですかな。
ネコ(潜入用義体):
それにしちゃあ、殺意高いデザインだけどね……。反射止め加工もされてるし……。
ナキオ:
めっちゃ暗殺用な感じですな。
ヴェール:
いやいや、物切ってる時に光が反射したら眩しくて危ないだろっ。そんだけだよっ。
ナキオ:
料理中に、そんな眩しくて危ない状況は、無いと思うんじゃが。
ヴェール:
無いとは言い切れねぇだろっ。
ネコ(潜入用義体):
まぁ……何にせよ、多目的で使えるのは良いね。
ヴェール:
ですよねぇー。ほら、わかる人にはわかんだよ。
ナキオ:
うーん、ですが……この辺りで作って売るには、過ぎたスペックでは?
ヴェール:
それは……っ、いいだろ別にっ。半分趣味で作っただけなんだから。
ネコ(潜入用義体):
防具の腕もさながらに……うん、武器だって素晴らしいじゃない。趣味なのが勿体無いくらい。
ヴェール:
あはは、嬉しいこと言ってくれるねぇ……ただ、趣味くらいなのが丁度いいんだよ。
武器なんてさ……売物にしちゃいけない。
ナキオ:
……んむ。
ネコ(潜入用義体):
そうかな? 需要はあると思うけどね。
ここら辺だと、狩人とか、傭兵とか。
そういうのが、入用(いりよう)になるんじゃない?
ヴェール:
それが生活に必要ってんなら、私に助けてやれることもあるさ。
……だけど、戦いの道具になるなら、話は別だ。
ナキオ:
先生は、死なない為の手助けはして下さる。
だが、殺す為に腕を振るうことは無い……ということですな。
ほっほっほっ、何とも素晴らしき職人魂かな。
ヴェール:
そんな大したもんじゃないよ……単に、つまらないだけさ。
ネコ(潜入用義体):
つまらない?
ヴェール:
あぁ。自分の作ったもんで、誰かが傷つくなんて……そんな、つまんねぇことないだろ?
ナキオ:
先生……。
ネコ(潜入用義体):
ふぅーん……。
ヴェール:
……だあぁ、もうっ、なんかっ!
辛気臭せぇ空気になっちまったねっ!
あっ、あと、先生って呼ぶなって言ってんだろっ!
ナキオ:
……ほっほっほっ、照れ隠しする先生も可愛らしいですなぁ。
いやはや、ワシが先生より若ければ、告白しているところでしたよ。
ヴェール:
なぁっ!? か、からかいやがって!
てか、何度も言うけど、私の方が年上だっつの!
ナキオ:
え……つまりそれって、先生よりワシの方が若いから……告白しろってことぉ!?
ヴェール:
黙れクソジジイ! くたばれ!
ネコ(潜入用義体):
なーるほどねー。
ヴェール:
あっ、すまないねぇ……ジジイがうるさくってさ。
ネコ(潜入用義体):
いや、気にしてないよ。仲が良くていいじゃない。
ナキオ:
そんな、夫婦みたいだなんて……。
ヴェール:
言ってねぇだろっ!
ナキオ:
ほっほっほっ……飯はまだかぁ!
ヴェール:
またボケやがってっ! 勝手に食えっ!
ネコ(潜入用義体):
ふふっ……ねぇ、ヴェール。
ヴェール:
なんだよっ!
ナキオ:
先生、引っ張られて大声になってますぞ。落ち着いて落ち着いて。
ヴェール:
誰のせいだっ!
ナキオ:
(※せつな気)
……誰かのせいになんて、して欲しくない。
ヴェール:
うるせぇよっ! お前のせいじゃっ!
ネコ(潜入用義体):
ヴェール。
君はどうして、武器を作ったんだい?
ヴェール:
んあ? どうして?
ネコ(潜入用義体):
君は、武器という物に、忌避感(きひかん)を抱いている。
けれど、趣味だと言って、こんな……素敵なナイフを、作っている。
どうしてだい?
ヴェール:
……それは。
ナキオ:
それは武器じゃない。先ほど先生は、そうおっしゃったではないですか。
ネコ(潜入用義体):
えっと、ナキオさんだっけ?
貴方にだってわかるはずだよ。
これは……人を殺す道具だ、って。
ヴェール:
っ。
ナキオ:
道具も技術も、使い手によって、毒にも薬にもなる。
突き詰めれば、カトラリーも、裁縫道具も。
使い方を誤れば、何かを壊すことが出来る。
ネコ(潜入用義体):
金言(きんげん)だね。
でも、使い手がそれを決めるのなら……作り手が何を願ったって、変わらないんじゃない?
ナキオ:
ほっほっほっ、揚げ足取りがお上手ですな。
……つまり、何が言いたいので?
ネコ(潜入用義体):
ヴェールはさぁ……本当は、武器を作りたいんじゃない?
ヴェール:
違うっ!
ネコ(潜入用義体):
へぇ、じゃあこのナイフは何なの?
夜闇に紛れて敵を殺す為の武器じゃないの?
まさか、眩しい照明浴びながら使う為のバターナイフじゃないよね?
ヴェール:
違う……確かに、武器なのかもしれない。
けどそれは、人を殺す為に作ったんじゃない。
ネコ(潜入用義体):
何を言ってるのさ。
武器は、人を殺す物だよ。
ヴェール:
あぁ、そうさ……でも、それは……人を守る為に作った道具だ。
ネコ(潜入用義体):
守る?
ヴェール:
堅(かた)い黒龍石(こくりゅうせき)は、耐久性に優れてる。
どんな爪や牙……刃や銃弾だって弾いてくれるさ。
ナキオ:
なるほど……高性能なアーマーにも使用される素材ですからな。
それを元にした物となれば、防御面でも優秀……そして、刃こぼれもしにくく、継戦能力(けいせんのうりょく)も高いですな。
ネコ(潜入用義体):
……言いたいことはわかるよ。
でも護(まも)ることに長(た)けているって……それは同時に、戦闘に特化しているってことなんじゃない?
ナキオ:
どうやら……オヌシは、喧嘩を売りに来たようじゃな?
ネコ(潜入用義体):
あはは、怖いなぁ。
私はただ買い物しに来ただけだよ……良い武器を、ね。
ナキオ:
無礼者がっ……!
ヴェール:
やめなっ!
ナキオ:
っ、ですが……!
ヴェール:
良いんだ……わかってんだよ、自分でもさ。
どんな言い訳並べたって、結局は戦いの道具になっちまう。このナイフも……盾も鎧も、ね。
ネコ(潜入用義体):
そうだよ。日常生活を平和に送りたいだけなら、武器も防具も作る必要無い。
ヴェール:
はっ……そうだよ。その通りだ。
ナキオ:
先生……。
ヴェール:
矛盾してんのは、百も承知さ……見ないようにしてただけで……ずっと頭の片隅にこびりついてんだ。
ナキオ:
……けれど、それでも防具を作り続けたのは、先生なりの理由があるのでしょう?
ヴェール:
……人っていうのは、どうしても争わないと気が済まないみたいでね。
どんなに平和に見えてたって、水面下じゃ血生臭い争いが、絶え間無く続けられてきた。
ネコ(潜入用義体):
見てきたような口振りだけど、年の功って訳かな?
ヴェール:
あぁ、伊達に長く生きちゃいないさ。
……嫌なもんをクソほど目にしたよ。
それに……クソなことも、嫌になるくらいやった。
ナキオ:
……軍人は、国に逆らえないことの方が多い、ですからな。
ヴェール:
それでもっ……私がやったことだ。言い訳なんて出来やしない。
……だから、私は逃げたんだ。嫌になって逃げた。
……自分に、嫌気がさしてね。
ネコ(潜入用義体):
それで……逃げた先で、この店を開いたと。
ヴェール:
……笑えるだろ。人を傷つけるのが嫌になって、逃げたってのに……私には、戦いの道具を作ることしか出来なかった。
ナキオ:
そんなことありません。先生は、革細工を子供たちに教えているではないですか。
それに、危険から身を守る為の防具ばかり作っている。
充分ですよ。誰にも恥じることのない、立派な選択です。
ヴェール:
……ありがとな。私なりに、贖罪(しょくざい)のつもりだったんだ。
せめて、誰かを守れるように。
せめて、誰かの助けになれるように。
……そうやって、この店を続けてきた。
ネコ(潜入用義体):
ふぅーん……じゃあ、武器を作りたい訳じゃないんだ?
ヴェール:
……いや、必要なら……作るさ。
それが、守る為に使われる物ならね。
ネコ(潜入用義体):
そっか……じゃあ、守る為の物。作って貰っちゃおうかな?
ヴェール:
いいや、お前にゃ売れないね。
ネコ(潜入用義体):
あれー、どうして?
ヴェール:
血生臭いからだよ、軍人さん。
ネコ(潜入用義体):
ははっ……金ならあるんだけどなぁ。
ヴェール:
あいにく、金なんてずっと困ってんだ。
今更貰えなくたって、こちとら痛くも痒くも無いね。
国に帰りな、クソガキ。
ナキオ:
ほっほっほっ! いやぁ、嫌われてしまいましたな、クライ殿っ!
さぁさぁ、お立ちなさいな。ワシが店の外まで、お見送りしてさしあげよう。よっこらせ、と。
ネコ(潜入用義体):
いや……お構いなく。怒らせちゃったみたいで、申し訳ないね。
残念だけど……買い物は、終わりだ。
ナキオ:
っ、先生っ!
ヴェール:
あ? うぉっ!?
ネコ(潜入用義体):
……へぇ、老いぼれのくせに、素早いね。
でも、危ないよ?
当たりどころ悪かったら……死ぬかもよ?
ヴェール:
あっ、うぇっ、テーブルが真っ二つにぃっ!
ナキオ:
貴様……何のつもりじゃ?
ネコ(潜入用義体):
べつに?
買い物して帰れないなら……無理矢理作らせるしかないじゃない?
それだけ。
ナキオ:
ほっほっほっ……ワシの前で、よくもそんなことが言えたなあ……無知とは、恐ろしいのう。
ヴェール:
えぇっと……なんか私、攫(さら)われそうになってる?
ナキオ:
おぉ、すみませんな、先生。手荒な真似をしてしまい。
ヴェール:
いや、それは別に。助けて貰ったんだしさ……。
ナキオ:
咄嗟だと加減が難しいですな。まさかテーブルを壊してしまうとは。
ヴェール:
お前かよっ! あっちの攻撃じゃないんかいっ!
ネコ(潜入用義体):
なるべく、君も含めて何も壊さないようにしたいんだよ、こちらはね。
ナキオ:
ふんっ、たとえこの店がぶっ壊れようとも、先生はお守り致す。
ヴェール:
店も守れよ! 敵の方が良心的なの、何なんだよっ!
ネコ(潜入用義体):
ははっ、守るだなんて無理だよ。
だって……壊す為に、暴力は振るう物だからぁ……。
ナキオ:
ナイフお借りしますぞっ!
ネコ(潜入用義体):
……さぁっ!
ナキオ:
ふんがっ!
ヴェール:
うわぁっ!
ナキオ:
っ……先生に、危害を加えたくないんじゃ無かったのか?
ネコ(潜入用義体):
多少はしょうがないでしょ……それに、アンタが守るんだから、問題ないんじゃ?
ナキオ:
ほっほっ……然(しか)り。うらぁっ!
ネコ(潜入用義体):
ぐっ……ふはは、隠居した爺さんの筋肉量じゃないでしょ。
ナキオ:
何事も……ふんっ! 体が資本っ。
新たな刺激を得る為には、心身ともに隆々(りゅうりゅう)でいなくては……ふんっ!
んマッスルゥ!
ヴェール:
いちいちポーズを取るなっ!
ネコ(潜入用義体):
良い心がけだね。私も同意するよ。
……何事も、兵装(からだ)が資本、だ。
ナキオ:
むぅ……何じゃ?
ヴェール:
アイツ……体が、青白く光って……!
ネコ(潜入用義体):
『霊子駆動』(エーテルドライブ)……『凶暴』(ブルータル)ッ。
〜〜〜〜〜〜
*セキュリティ通知:479へID:U48s/e53_293からのログインが検出されました。
479(e53):
いやぁー、面白いことになってきたじゃあないかぁ。ギィッハハァッ(※笑い声)……ねぇー、お前さん?
ティアン:
……そぉだねぇ。こぉんな状況じゃなきゃ、もっと楽しめただろうけど。
とりあえずさぁ、そこの木から降りてきて、このベルト外してくんない?
479(e53):
あらぁー、せっかくワタクシちゃんが、ギッチギチに拘束してあげたのにぃ……気に入らないのかぁーい? ギィッハハァッ!
ティアン:
あははっ、キモい一人称に、キッモい笑い方だねぇっ。
そんで、こぉんなことしてさぁ……機械のくせに、変態なの?
479(e53):
んぅー……傷つくことばっかり言ってくれてさぁー。立場分かってんのかぁーい? 半端(デミ)ィ。
ティアン:
あぁ? 今時聞かない差別用語持ち出してくんぢゃん……お前、さてはヨボヨボのしわくちゃだな? 当たり?
479(e53):
ギィハハ……そっちこそぉ、随分安い挑発じゃないかぁーい。……残念だけど、蓄積されたデータを学習してるだけで、製造年数はそこまで経っちゃいないー……よぉっ!
ティアン:
ぐぎっ……! うっ……あ、はは……ちゃんと効いてんぢゃんか……顔、真っ赤かよ、ぐっ!
479(e53):
真っ赤なのは、お前さんの方じゃないかぁー……首絞まっちまってぇ、つらいんだろぉー? んぅー?
ティアン:
がっ……はっ、ゴホッ、グッ、はぁ、はぁ、はぁっ!(※首の絞まりが緩む)
479(e53):
ギィッハハァッ! すまないねぇー、ついイジメたくなっちまったよぉー。殺す気はないさぁ。単に……邪魔しないでくれりゃあー、それで良いさぁ。
ティアン:
はぁ……ははっ……何だよ、邪魔ってぇ。逆に、何をしたら、邪魔になるってのさぁ。
479(e53):
気にしなさんなよぉー。いちいち確認するのも面倒だろぉー?
何もしなきゃ、それが1番楽さぁー、お互いにねぇ。
ティアン:
……何もしないのは、難しいでしょ。こっちにも、やらなきゃいけないことがあるんだからさぁ。
479(e53):
記録するだけなんだから、お前さんならぁ、ここからでも何となく聴こえるだろぉー?
あの店の中で起こってることがさぁー。
ティアン:
……何で知ってんの?
479(e53):
へぇー、単なる人払いの為に、お前さんを拘束してるとでも思ってたのかぁーい?
ギィッハハァッ……そんなわけないだろぉー、個体識別名「ティアン」。
ティアン:
……誰だ、お前?
479(e53):
ギィッハハァッ! そういや、自己紹介してなかったねぇー!
ワタクシちゃんは、カイ……おぉっとぉー、今は479(シャナク)って名乗らないとだったかねぇー? ギィッハハァッ!
ティアン:
こっちの記録だと、479(シャナク)って型番の機械は、鳥型じゃあなかったはずだけどぉ?
479(e53):
あぁー……細かいこと気にすんじゃないよぉー。それじゃあー、293(ニー、キュー、サン)で293(ツグミ)ってのはぁ、どうだぁーい?
ティアン:
ははっ、どぉでも良いー。
479(e53):
ギィッハハァッ、んじゃあ個体識別番号もサービスで教えようかぁー? e53(イーゴーサン)……こっちはお気に召したかぁい?
ティアン:
へぇー、それ1番気に入ったよ。e53……53(ゴミ)って、ははっ、お似合いぢゃん。
479(e53):
……煽るのが上手いねぇー、半端(デミ)ィ。
ティアン:
機械のくせに怒んなよぉー、53(ゴミ)。
479(e53):
……あぁーあぁー……許可がでてりゃあ殺してやれたのにさぁー。残念だねぇ……っとぉ。
ティアン:
ぐぁっ! がっ……うっ!
479(e53):
なぁに逃げようとしてんのさぁー?
ティアン:
っ……ははっ、バレちったぁ。
479(e53):
つれないねぇー。もうちょっとお喋りしておくれよぉー。
ティアン:
いやぁ……参っちゃった、なぁ。人気者はツラいねぇ……キモいアンチも、相手にしなきゃなんて、さぁ。
479(e53):
ほんっとぉーにぃ…… ギィッハハァッ。そういうさぁー、煽りばっかり上手いから、目を付けられたんじゃあないかぁーい? お前さんたち。
ティアン:
「たち」……? ははっ、なんのことだよ?
479(e53):
だからさぁー……そんなんだからぁ、劣等種の巣は焼き払われちまうんだってぇ、言ってるんだよぉー。
ティアン:
……んだよ。それも、データで知ってんの……?
479(e53):
いぃやぁー? これはねぇ……経験、さぁ。
死に遅れぇ。
ティアン:
…………なぁ。
479(e53):
んぅー?
ティアン:
死ねよ、ゴミ。
479(e53):
はぁ? っ!? グギィアッ!
479(e53)M:
衝撃感知。視界不良……修正中。
……いったい何がぁ……攻撃を、食らったぁ?
視界(カメラ)映像から、危機検知が出来ないなんて……感知機構のセンサーも貫通したって言うの?
何の冗談……あの状態からぁ……どうやって動けるようにぃ……!
ティアン:
つっ……っ、あはっ、驚いたぁ?
479(e53):
……あぁ、驚いちまったよぉー……関節外して縄抜けしちまうとはねぇ……痛かったんじゃないかぁーい?
ティアン:
そっちのが痛かったんぢゃん? こっちは慣れたもんだよぉ……慣れたか無かったけどぉ。
479(e53):
……不意をつかれちまったけどさぁー。
片腕がまだ動けないみたいじゃないかぁーい?
そんなんでぇ、ワタクシちゃんを壊せると思ってるんならぁ……。
ティアン:
あぁ、大丈夫。今、もう片方も解放するから。
479(e53):
……関節外したくらいじゃあ、そっちはどうにもならないだろぉー?
ティアン:
んなの分かってるよ。だから、これで……ぶち斬るんぢゃん。
479(e53):
そぉんなさぁ……剣で斬れるような拘束具使うわけないだろぉー?
それはヴェルナバンドって言う、馬鹿みたいに耐久性のある拘束ベルトでぇー……。
ティアン:
『調理開始』(セ・パルティ)
『切断』(クーぺ)
479(e53):
なっ!? えぇえぇえぇ! あのベルトが、いとも簡単にぃ……!
ティアン:
……どぉ? スッパり斬れたけど?
479(e53):
……ギ、ハハァ……ここじゃあ、魔法は使えないはずだけどぉー?
ティアン:
じゃあ、魔法じゃないんぢゃーん?
479(e53):
……教える気はぁー、無い訳ねぇ。
ティアン:
どうせぇ、お前『義体』ってヤツだろ? 見す見す情報は上げないよん。
479(e53):
ギィッハハァッ……半端(デミ)の癖に賢いねぇ。
ティアン:
ははぁっ、黙れってゴミ。
479(e53):
その呼び方ぁー、やめておくれよぉ。
そんなんで記録されたらぁ、みっともないじゃないかぁーい。
ティアン:
安心しなよぉ。お前は、歴史に残さない。
中身も探し出して、スクラップにしてやるよ。
だから……根絶(ねだ)えろ、ゴミ。
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都近郊の森/ヴェールの防具店/取扱い商品紹介/商品の仕様詳細/
ナキオ:
ぬぅっ! 速いっ……じゃが、ナイフ1本で防ぐには、事足りるっ!
ネコ(潜入用義体):
ははっ、この機動力について来れるなんて……もしかしてアンドロイドとか?
ナキオ:
ふんっ、純度100%の筋肉製じゃ……よぉっ!
ネコ(潜入用義体):
つっ……地形を上手く使って攻撃してくる……厄介な奴だ。
ヴェール:
おわぁーっ! 馬鹿野郎!
店の柱、折って武器にすんなぁーっ!
ナキオ:
問題ありませんぞ先生。
『達人は武器を選ばず』という事です。
ヴェール:
達人は、他人の家を破壊しねぇーんだよぉ!
ナキオ:
あ、ワシ、達人じゃ無いのでー。
ヴェール:
じゃあ武器を選べっ、ボケジジイッ!
ネコ(潜入用義体):
兵装、起動……『雷荷』(フルメン・オヌス)ッ。
ナキオ:
おっとぉ、残念ながら、選ぶ暇(いとま)も与えてくれぬみたいですなぁっ!
ヴェール:
時ぃ間の問題じゃ無いだろがぁいっ! モラルの問題じゃあっ!
ネコ(潜入用義体):
ふふっ、避けれるか、なっ!
ナキオ:
ぬらぁっ! ナイフパリィッ!
ネコ(潜入用義体):
ダメだよ、避けなきゃ。
ナキオ:
っ!? ぐあぁあぁっ!
ヴェール:
じいちゃんっ!?
ネコ(潜入用義体):
今、私の義体(からだ)には高圧電流が流れている。下手に攻撃を受けると、雷に打たれるよ?
ナキオ:
うっ、がっ……さ、先に言って欲しいのぅ……。
ヴェール:
だ、大丈夫かいっ?
ナキオ:
ほっ、ほっ……ほっ。問題、無いです。
ちっとばかり……筋肉の凝り(こり)がほぐれた程度、じゃ。
ヴェール:
んな訳無いだろ、高周波治療じゃないんだからさ……心配しづらくするなよ……。
ナキオ:
先生……ひとつお願いしてもよろしいですかな。
ヴェール:
な、なにさ?
ナキオ:
……このままでは、クライ殿に勝てない……じゃから、少々本気を出したいのです。
ヴェール:
本気? い、いや、そんなん、もちろん構わないよっ!
ナキオ:
おぉ……ありがとうございます。
先生の店が、ぶっ壊れると思いますが……。
ヴェール:
え?
ナキオ:
んぬぅっ!
本気で行かせて貰おうっ!
ヴェール:
聞いてない聞いてない聞いてなぁいっ!
ストォーップ!
ネコ(潜入用義体):
すごい闘気……どうして筋肉バカは、皆それ出来るんだろうな……。
さて、これはニードルなんかじゃ、遅れを取りそうだね。
申し訳ないけど……君の店が燃え尽きるかもしれないが、私も熱線(ビーム)兵装を使わせて貰うよっ!
ヴェール:
えぇえぇ! やめろぉー!
ナキオ:
本気の拳(こぶし)……『怒ッ天ッ壊ッ命ッ』(どってんっかいっめいっ)!
ネコ(潜入用義体):
『霊子駆動』(エーテルドライブ)、『熱線剣装』(ビームサーベル)ッ!
ヴェール:
うわぁぁあぁあぁあん!
479(e53):
ギィアアァアァッ! バリィィィンッ!(※窓割り音を口で) グギヘッ! あでっ!
ヴェール:
どぉわあっ! なになになにぃ!?
ナキオ:
なんじゃっ!?
ネコ(潜入用義体):
なに?
ヴェール:
なんだなんだ、なんなんだぁこの鳥……いや、機械ぃっ!?
って、うわあぁ! 窓、ぶっ壊れてるぅっ!
479(e53):
ウ……ギィッハハァ……やれやれぇ、滅茶苦茶だよぉー、クソッ。
ヴェール:
それは、こっちのセリフなんだがぁっ!
ネコ(潜入用義体):
貴様……ヴェルのおもちゃか?
ヴェール:
え、私のじゃないよ!
ネコ(潜入用義体):
あ、うん、分かってる……名前似てんの、めんどくさっ。
479(e53):
ちぃー……エンカウントするつもり無かったんだけどねぇー……。
ナキオ:
知り合いのようじゃが……オヌシも敵っちゅーことかのう?
479(e53):
……えぇー、っとぉ。
ネコ(潜入用義体):
早急に、貴様の軍部所属コードの無線送信をリクエストする。
これに拒否する場合、貴様の所属に関わらず、任務妨害および国家反逆行為と見なし、破壊する。
479(e53):
ぐぅ……まぁー、ちょいとお待ちよぉ。そんな場合じゃあー……げぇっ!
ナキオ:
むぅっ? 気配がもうひとつ……。
ネコ(潜入用義体):
……誰?
479(e53):
ワタクシちゃんを、ぶっ飛ばした奴だよぉ……。
ティアン:
『切断』(クーペ)
ネコ(潜入用義体):
えっ、ちょっと……!
ナキオ:
ぬっ!? 先生っ!
ヴェール:
うおわぁっ!
479(e53):
家ごと、ブツ斬るなんてぇ……ほんっとぉー、無茶苦茶するねぇー、お前さぁん……。
ティアン:
あっははぁ、お前がさせてるんぢゃーん……ゴーミー。
ナキオ:
おぬし……ティアンか?
ヴェール:
う、わっ、あっ……て、天井がぁ……てかっ、2階がぁ……!
ネコ(潜入用義体):
斜めに切れて、スライドしてく……このエネルギーは……。
ナキオ:
……先に壊されちゃった。
ヴェール:
なんで残念そうなんだっ!
ティアン:
ごーめんごめーん、驚かせちゃったよねぇ。でもさぁー……そのゴミ。
ネコ(潜入用義体):
ゴミ?
479(e53):
だからぁー……その呼び方ぁ、やめろっつってんだろぉー?
ナキオ:
うむ。どちらかと言うと、鉄屑(てつくず)ですからな。
ヴェール:
いや、正しい表現して欲しい訳じゃ無いだろ……。
ティアン:
なんでも良いけど、それ壊すの……僕だからさぁ。
ネコ(潜入用義体):
それは別に構わないけど、他所(よそ)でやってくれない?
こっちも取込み中なんだけど。
ナキオ:
そうじゃ、他人(ひと)に迷惑をかけてはいけませんな。
ヴェール:
お前が言えたことかっ!
ナキオ:
はにゃあ?
ヴェール:
うがぁ! お前も一緒に壊して貰えっ!
ティアン:
あのさぁ……分っかんないかなぁ……。
ネコ(潜入用義体):
……っ。
ナキオ:
むぅ……。
ヴェール:
うぇっ……?
ティアン:
俺、ちょっとぉ、キレてんだよねぇ。
だから、巻き込まれて死にたく無かったら……どっか行ってね?
479(e53):
ギィッハハァッ……怖いねぇー。
ティアン:
ははっ……。
ヴェール:
ど、どうしたんだい、ティアン?
なんかぁ……怖いよ?
ナキオ:
いかんっ、先生っ!
ヴェール:
えっ?
ティアン:
『粉砕』(エクラーゼ)ェッ!
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/タングリスニ国/作戦室/
ネコ:
なんだこれは?
479(博士):
なぁんだと思いますぅ?
ネコ:
……くだらない問答はやめろ。
479(博士):
んもぉー、ノリが悪いですねぇー。
機械化されていたってぇ、思考回路を働かせることはぁ、重要なことなんですよぉ?
ネコ:
いいから……作戦に関わる物なんだろう?
さっさと共有して。
479(博士):
はぁ……べつに、作戦に関係がある物じゃないですよぉ、それぇ。
ネコ:
じゃあ、外せっ。それなりに重いぞ、これ。
479(博士):
いやぁ、必要があって付けて貰ったんじゃないですかぁ。
別件ですがぁ、いま行っている調査で使う、とあるデータを収集する装置なんですよぉ。
ネコ:
……潜入任務に持って行きたくないんだけど。
479(博士):
いやぁ、そこをなんとかぁ……バルナなんてあんまり行かないんですからぁ。
ネコ:
そんな事ないだろ。
479(博士):
私がぁ、って話ですよぉ。
ネコ:
そりゃ、お前はそうだろうけど。
他の奴か、その機械にでも付けて、バルナに送ればいいだろう。
479(博士):
いやぁ、それが出来たらお願いしないですってぇ。
ネコ:
まあ、そうか……だけど、任務に支障をきたしたくない。
479(博士):
大丈夫ですってぇ。そう言いながらぁ、上手いことやれちゃうでしょお?
もぉ、わかってるんですからねぇ、このこのぉ。
ネコ:
ウザい。
479(博士):
酷いっ! でもぉ、否定はしない、とぉ。
ネコ:
……お前天才とか馬鹿なこと言ってるんだから、もう少し軽量化してよ。
479(博士):
ちょおっ! 馬鹿ってなんですかぁ、馬鹿ってぇ!
それでもかなりコンパクトにしたんですよぉ!
ネコ:
なら、天才もこの程度って訳か。
479(博士):
ぐぅぬぬぬぬぅ……むぅかぁつぅくぅ……。
へーん! 分かりましたよぉ! あと、50グラム……いや、1キロ軽くしてやりますよぉーだっ!
ネコ:
えー、出来るかなぁ……無理しなくていいよ?
479(博士):
無理じゃなぁいですぅー!
ネコ:
ははっ……でも、本当に何に使うのさ。
479(博士):
内緒、でぇーす。
ネコ:
……私にも言えないことって訳ね。
479(博士):
……大したことじゃないですよぉ。
ただ、データを収集する際に、意識しない方が良い結果となるだけですぅ。
ネコ:
なんだそりゃ。
479(博士):
そんなことに思考回路を働かせる必要は無いですよぉ。
バルナに着いたら、貴方はこれを起動させて、放っておく。
それだけで大丈夫なんですからぁ。
ネコ:
……私を暗殺しようとか、してないよな?
479(博士):
あっはっはーっ、だとしたら随分と非効率的ですってぇ。
それにぃ……貴方は殺すより、利用した方が良いに決まってますよぉ……ネコぉ君。
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都近郊の森/ヴェールの防具店/改装工事のお知らせ/
ネコ(潜入用義体):
……あぁ……なんだっていうんだ。
ナキオ:
んぬぅ……店が一瞬で瓦礫に……。
先生、ご無事ですかな?
ヴェール:
あ、わ、わた、私の、お、おみ、お店が、が、が、がががががが……。
ナキオ:
良かった、お体は無事ですな。
ネコ(潜入用義体):
メンタルはダメそうだけどね。
ナキオ:
体が健康なら、後から心もついてくる。そういう物じゃよ。
だから、大丈夫大丈夫、いけるいける。
ネコ(潜入用義体):
テキトー過ぎ……本当に守るつもりある?
479(e53):
ギ……アッハァッ! ふぅーっ、危ねぇー、死ぬかと思ったぁー……いやぁ、別に死なないけどさぁー。
ティアン:
……チッ。芋みたいに潰れときゃあ良かったのに。
479(e53):
ちょおっとぉー、さすがに酷いんじゃないかぁーい?
無関係の人間に危害加えるなぁんてぇー。
しかもぉー、店までブッ潰しちゃってさぁ?
ティアン:
無関係ぇ? ははっ! なぁに言ってんだよ……関係あるから、巻き込んでんだろ?
『お前が』、さぁ。
479(e53):
ッ……なぁんのことだかぁー……。
ネコ(潜入用義体):
そちらの話の途中で悪いけど。お前たちのせいで、こちらの話はもう、ぐちゃぐちゃなんだけど?
これ以上ややこしくするなら……。
ティアン:
するなら、なんだよ? そっちの邪魔されたから、今度はこっちの邪魔してやるってかぁ!?
はっはぁー! 人類史から戦争が無くならない訳だよねぇ、こりゃあーさぁー!
ネコ(潜入用義体):
……話が通じないみたいだな。
ティアン:
へぇー、良いように解釈しやがんぢゃん!
獣人のコスプレなんかしちゃってさぁ……馬鹿にしてんだろ、アンタもさぁ?
ネコ(潜入用義体):
馬鹿にしてないし、コスプレもしてない。
……自意識過剰なんじゃない?
479(e53):
おぉー、バチバチじゃないかぁーい? ギィッハハァッ!
ナキオ:
ふむぅ……これ以上暴れられると困るのぅ。先生の店どころか、辺り一帯に被害が出そうじゃ……。
479(e53):
ギィッハハァ……やぁっぱりさぁー、ごたついた人間関係を円滑に進めるにはぁー、共通の敵を用意するのが1番だとぉ、思わないかぁーい?
ネコ(潜入用義体):
はぁ……貴様のことを後回しにするのは不本意だが……まずは、変な魔導機械を付けてる奴の制圧を優先しよう。
ナキオ:
ティアン。少々、頭に血が昇り過ぎじゃないかのぅ。周りが見えておらんぞ。
どれ、ワシが落ちつかせてやろう。
優しく……してやれればいいがのぅ。
ティアン:
どいつもこいつも……あぁ……イライラするぅ。
っ……!
479(e53):
ほぉらぁー……。
ネコ(潜入用義体):
……っ、な、んだっ?
ナキオ:
ふぅんっ。
ヴェール:
ががががががが……。
479(e53):
……来るよぉっ!
ティアン:
ブチ斬れろ……『切断』(クーペ)ェッ!
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/タングリスニ国/軍事研究所/科学部門室/
479:
再ログインのリクエスト……送信中……エラー。
……ダメですね。通信プロトコルが遮断(しゃだん)されてしまっている。
『戦略兵装-双翼ニ型:鶫』(せんりゃくへいそう そうよくにがた つぐみ)は、完全に略奪されたようです。
……えぇ、遠隔操作系統は、すべてダメです。
おそらく、特定の場所からの通信を禁止にしているのではないかと。
はい……え、ネコさん経由で?
……あぁ、確かに……取り付けた装置とは通信が取れてますね。
……なるほど、その繋がりを利用して……承知しました。
直ち(ただち)に、ネコさんをハッキングします。
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都近郊の森/ヴェールの防具店/休業日のお知らせ/
ナキオ:
ほっ! 痺れる拳、『羽雷主』(うらぬす)っ!
ティアン:
かき混ざれっ、『混合』(メランジュ)ッ。
ナキオ:
むぅっ、空気の渦で、拳の軌道がっ……!
ティアン:
そんで、ぶっ飛べっ……。
ナキオ:
うぬぅ……っ。
ティアン:
『粉砕』(エクラーゼ)ッ!
ナキオ:
ぐぅっ! ぬぁっ!
479(e53):
うひぃー、強烈なの入ったねぇ。
壁に埋まったけどぉ、大丈夫かぁーい?
ナキオ:
ふんぬぅっ! いやはや……綺麗に食らってしまったが、大丈夫じゃよ。
479(e53):
そりゃあ良かったぁー、戦力が減ったら終わりだろうからねぇ……。
ナキオ:
そうじゃな。なんせ、2人があんな感じじゃからな。
ヴェール:
……店がががかががが。
ネコ(潜入用義体):
……ガガガガガガガ。
479(e53):
なんなんのぉ……アレって感染(うつ)るのぉ?
ナキオ:
分からんが……ワシらで何とかするしか無いじゃろうて。
ティアン:
はぁ……そこのゴミを渡せば良いだけってぇのに。
どぉして人間は、こんなに馬鹿なんだろうねぇ。
ナキオ:
ほっほっほっ……理由がなんであれ、無辜(むこ)の民を傷付けておいて、自分の要求だけ通そうなど……筋が通らんじゃろ、ティアン。
ティアン:
無辜(むこ)ぉ? はっ……はははっ!
どんだけ自分らを棚に上げちゃえるんだよ、アンタらっ。あはははっ!
ナキオ:
何のことか分からんが……やはり、様子がおかしいのう。
479(e53):
……へぇー、そういうのわかっちゃうくらい、アイツと親しいのぉ?
ナキオ:
ちょっ、やめろしぃ! べ、べつにそんなんじゃねぇしぃっ!
479(e53):
えぇー、照れてんじゃーん。
ナキオ:
て、照れてねぇしぃ!
ティアン:
『粉砕』(エクラーゼ)
479(e53):
(※ティアン言い終わりですぐ)
ギィアアァアァッ!
ナキオ:
(※ティアン言い終わりですぐ)
ぎゃああぁあぁっ!
ティアン:
キモいやり取りをするな。
ナキオ:
ぬぐぅ……ワシらは、青春を取り戻すことも許されぬか……。
479(e53):
いつだってぇー、心くらいは若くいたいもんだよねぇ……。
ティアン:
機械が何言ってんだ、しかも大して歳とって無いって言ってたろお前。
479(e53):
ギィッハハァッ、そうだよぉー……ワタクシちゃんは、ねぇ。
ティアン:
……?
ナキオ:
重い拳……。
ティアン:
っ、しまっ……!
ナキオ:
『重飛多』(じゅぴたぁ)っ!
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都/
ティアン:
おーおー、バルナの裏通りは今日も賑わってるねぇ。闇市だってのに、堂々としちゃってまぁ。
商人:
ちょいとぉー、そこのお前さぁん。
ティアン:
ん? 僕?
商人:
そうだよぉー。面白いのがあるんだけどさぁ……見ていかないかぁーい?
ティアン:
ふーん……どんなのぉ?
商人:
これさぁー……。
ティアン:
腕輪? にしちゃあ、ちょっとゴツいね。
商人:
これはねぇー、調理補助ガジェット『ラビリテ・デュ・シェフ』って代物(しろもの)さぁ。
ティアン:
調理補助? 料理の道具ってこと?
商人:
まぁー、そうだねぇ。ナイフを扱う方の腕に嵌(は)めればぁー、音声入力で色んな調理法が再現できるんだよぉ。
ティアン:
へー……でもさぁ、こんなお上品なヤツ。こんなとこで売らないでしょー? 本当のとこぉ……なんなのさ、これ。
商人:
ギィッ……ふぇっふぇっ……迷い込んだ馬鹿じゃないって訳だねぇー。
ティアン:
あははー、分かって話しかけた癖にぃ。
商人:
ふぇっふぇっ……こいつぁねぇー、違法改造品で、威力が凄い事になってんのさぁ。
ティアン:
具体的には?
商人:
魚を捌(さば)こうとすりゃあ、周囲の人や建物ごとぉ……スッパリ斬れちまうさぁー。
ティアン:
うっへぇー、そりゃあヤバいね。
商人:
つまりぃ……戦闘用だねぇー。
ティアン:
そら、こんなとこで売る訳だ。でもぉ……お高いんでしょお?
商人:
ふぇっふぇっ……お前さんにゃ特別にぃ……お安くしたげるよぉ。
ティアン:
えぇ? なんでぇ?
商人:
これが捌(は)けたらぁー、今日はもう仕舞(しま)いに出来るからさぁ。
ティアン:
あぁー、なるほろね。
商人:
それにぃー……お前さん、死相(しそう)が出てるからねぇ。
ティアン:
死相(しそう)? なに、アンタ占い師もやってんの?
商人:
ふぇっふぇっ、なぁに……分かるんだよぉー、なんとなぁく……ねぇ。
ティアン:
あぁ……んで、その運命を避ける為にもぉ……買えと?
商人:
そぉーゆうこったぁ。ギィッ……ふぇっふぇっ。
ティアン:
あっははー、商売上手ぢゃん。良いよ、なんか面白そうだし。買ったげる。
商人:
おぉ……まいどありぃ。お前さんにぃ、良い運命が訪れることを願うよぉー……本当に、さぁ。
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/バルナ国/バルナ首都近郊の森/ヴェールの防具店/お知らせ-私の店ぶっ壊れました/
ナキオ:
むぅ……。
ティアン:
……っ。
479(e53):
えぇ……?
ネコ(博士):
……『防御機構:衝撃吸収(ショックアブソーブ)』。
ナキオ:
ワシの拳を止めるとは……。
ネコ(博士):
いやいやぁ……止まってませんよぉ、全部受け止めたんですぅ! まったくぅ、馬鹿みたいにエネルギー使いましたよぉ……。
ティアン:
……なんで、庇(かば)った?
ネコ(博士):
庇(かば)うぅー? べっつにぃ、庇(かば)ってなんか無いですよぉ。ただぁ……素敵な玩具(おもちゃ)をお持ちだなぁって、ちょっと興味が出て……ねぇ?
ティアン:
あ、えっ、いつの間にっ! その腕輪返せっ!
ネコ(博士):
おっとぉ、まぁまぁ、もうちょい見せて下さいよぉ。
ティアン:
なぁんでだよっ、おい、返せってぇ! 割と高かったんだからさ!
ネコ(博士):
ふむふむぅ…… 調理補助ガジェット『ラビリテ・デュ・シェフ』、の違法改造品ですねぇ……。
わぁー、出力が馬鹿になってるぅ……こんなんずっと使ってたら、いずれ爆発して腕が無くなっちゃいますよぉ?
ティアン:
爆発っ!?
ナキオ:
おぉ……まあ、本来の用途が、料理の補助だとしたら、随分と威力がおかしいからのぅ。
ティアン:
うへぇ……危なぁ……って、あれ?
ナキオ:
どうかしたか?
ティアン:
いや、なんか……。
ネコ(博士):
気分がすぅーっきりしたぁ……ってぇ、感じですぅ?
ティアン:
う、うん……なんか、ずっと変に頭痛いし、イライラしてたんだけど……。
ネコ(博士):
あっはっはーっ、治って良かったですねぇ。どぉーやらぁ、この腕輪から変な電波が出ていてぇ、体調に影響していたのかぁもぉ……しれません……ねぇ、そこのアナタ?
479(e53):
ギィックゥッ!
ネコ(博士):
さっきから随分と無口じゃあないですかぁ?
479(e53):
いやぁー……元からお喋りなほうじゃあないからねぇー……。
ナキオ:
いや、かなりお喋りだったと思うがのう……。
479(e53):
あぁー……昔はそうだったかもねぇ……。
ネコ(博士):
未来と現在(いま)以外を、遠い過去にしてしまう、アナタのその姿勢は大変素晴らしいと思いますけれどぉ……。
明らかに動揺しているぅ……これだから進歩し過ぎたAIは、人間臭過ぎていけない。
479(e53):
ぐっ……ワタクシちゃんが、AIだって決め付けるのはぁ、良くないんじゃあないかぁーい?
ネコ(博士):
気にし過ぎ。
479(e53):
はぁ?
ネコ(博士):
だからぁ、気にし過ぎなんですよぉ、アナタ。
べっつにぃ、私が作った義体を操作しているのがAIか人間かなんてぇ、どっちでも良いじゃないですかぁ。少しでも情報を与えたく無いなら、そんな発言は無視すべきです。
そういうのを無視出来ないってのはぁ……コンプレックスがあるかぁ、くだらない誇り(プライド)があるかぁ……ですよぉ?
人間臭っせぇ、AI君。
479(e53):
グギッ……ギィッハハァッ! うっざいねぇー、お前さん……!
いったい、中身は誰になっちまったんだぁーい?
ネコ(博士):
誰だって良いでしょう。
私の計画(プラン)を邪魔しようとする、愚かな『道化』(クライドヌ)にはぁ……教えてやることなんてぇ、ひとつも無いんですよぉ。
ナキオ:
むぅ……話が見えない。
ティアン:
なんか、今度は別のバチバチが始まったねぇ……。
ナキオ:
うむぅ……なんも分からんが、今日が厄日(やくび)だということは、確実じゃな。
ヴェール:
……がががががががが。
479(e53):
……まだぁー、ハッキングの途中なんでぇ、戦闘は勘弁して欲しいんだけどねぇ。
ネコ(博士):
おやぁ、そうなんですかぁ?
私が作ったダミーサーバーへ必死になってアクセスしようとしてるのってぇ、ハッキングだったんですねぇ。
479(e53):
なっ……ダミーッ!?
ネコ(博士):
そぉんなに大量のゴミデータが欲しいんですかぁ? ま、そんな訳ないですからねぇ。
私てっきりぃ無駄な労力が好きな方なんだなぁーって、思ってましたよぉー。あっはっはーっ! ウケるぅー。
ティアン:
うわぁ……めちゃくちゃ煽るぢゃん……。性格悪っ。
ナキオ:
あれは、聞いてるだけでもイラっとするのぅ……。
479(e53):
ギ、ギィッ……ギギギッ……ギィッハハァ!
……クソボケ野郎めぇ……お前さんをここで殺せないのがぁー……ストレスで死にそうだよぉ!
ネコ(博士):
だからぁ……死ねるなら死んでみて下さいよぉ。
人間の真似事しやがってぇ、良い加減キモいんだよ、クソゴミAI。
ナキオ:
うぉ……なんか凄いキレとるぅ……。
ティアン:
何が琴線(きんせん)に触れたんだろうねぇ……怖ぁ……。
ヴェール:
なんかちょっと、AIが可哀想だよねぇ。
ナキオ:
そうですよねぇ……って、えっ! 先生、治ってるぅ!?
479(e53):
お前さんに、ワタクシちゃんたちの計画を理解して欲しいとは思わないしぃー、状況もクッソ悪くなっちゃったからねぇ……そろそろお暇(いとま)させてもらうよぉ。
ネコ(博士):
逃げるんですかぁー?
その義体、探知出来ちゃいますけどぉ?
479(e53):
知ってるよぉー……だからぁ、こうすんのさぁ……『飛行(フライト)機構:爆速(バースト)』!
ネコ(博士):
げっ……しまったぁっ!
ヴェール:
あっ、クライの持ってた腕輪がっ!
ナキオ:
すごい、ちゃんと喋ってるぅ……先生さっきまで『が』しか言って無かったのに……。
ティアン:
あー、俺の腕輪ぁ!
479(e53):
ダメじゃないかぁ、買った物は奪われないようにしなきゃあ……ふぇっふぇっ。
ティアン:
あ、その笑い方……まさか!
479(e53):
『調理開始』(セ・パルティ)
ナキオ:
くっ、まずいぞい……先生っ、ワシの後ろへ。
ヴェール:
ががががががが。
ナキオ:
えぇっ!? どしてぇっ!?
479(e53):
じゃあねぇー、またどっかでぇ……。
ネコ(博士):
面倒臭いですねぇ……ネコ君、後は任せましたぁー。
479(e53):
燃え爆ぜろ、ワタクシちゃん。
ネコ(潜入用義体):
う、えっ!? ちょっと、おいっ、ヴェルっ! 馬鹿っ!
479(e53):
『加熱』(キュイソン)ッ!
ネコ(潜入用義体):
『霊子駆動』(エーテルドライブ)!
『量子絆環』(クォンタム・リンク)ゥ!
※爆発音
〜〜〜〜〜〜
*404 not found
ヴェール:
……う、うぅん。わた、しの……店がぁ……がが……はっ!
ナキオ:
おぉ、先生。お目覚めですかな。
ヴェール:
うぅん? じいちゃんかい?
ナキオ:
ほっほっほっ、何をおっしゃいますやら。
……貴女のナキオですよ。(※イケボ)
ヴェール:
うるせぇ、クソボケジジイ。
ナキオ:
んもぅ、つれないんだからぁ。ほっほっほっ。
ヴェール:
はぁ……というか……ここ、どこだ?
なんか、やけに白い部屋だけどさ……。
ナキオ:
……タングリスニです。
ヴェール:
え? タングリスニ?
それは……え、国の?
ナキオ:
いや、他に無いでしょう……。
ヴェール:
そ、そうだけどさ! え、なんで?
ナキオ:
……それが、言いにくいのですが。
ヴェール:
な、なんだよ……。
ナキオ:
先生のお店が、ぶった斬られ、ぶっ潰され、その上で爆発して、燃えカスになった……までは覚えてますかな?
ヴェール:
爆発して燃え……わ、私の、私の、み、店……がががががが。
ナキオ:
おぉっと、PTSDっ!
先生、お気を確かに!
深呼吸ですぞ! ひっひっ、ふうんっ!
ヴェール:
ひっひっふぅんっ……ってぇ、筋肉を見せるポーズをとらせるなっ!
ナキオ:
ナイスバルクッ!
ヴェール:
うるせぇ!
ナキオ:
良かった、正気に戻れたようですな。
やはり、筋肉は全てを解決する。
ヴェール:
くっ、戻れた手前、完全に否定できないのが、ムカつく……!
ナキオ:
それで、燃えカスになった後のことなんですが。
ヴェール:
うっ……はぁ、はぁ……心臓が痛い……。
ナキオ:
あのぅ、大丈夫ですか?
ヴェール:
はやく続けろっ、身が持たない……!
ナキオ:
では……その後、土地の管理者の方がいらして……。
ヴェール:
うっ! あっ……うぅ……。
ナキオ:
「はぁー、こらぁ、えらいこってぇ……困りまんなぁ。ヴェールはん、まだぁ、ここのショバ代、全部払ろてもろて無いんですわぁ……ふぅー……どないしはりますん?」
ってぇ、イカついグラサンのオッサンが。
ヴェール:
うぐぁ……うぅ……そ、それで……?
ナキオ:
まぁ、普通にヤってしまおうかと思ったんですがぁ。
ヴェール:
やめとけよっ! どちらかって言うと、こっちが悪いんだからさぁ!
ナキオ:
いやぁ、何もしてませんからぁ、ほっほっほっ……ちょっとスゴんじゃったけど。
ヴェール:
おいぃ……そいつだけで済むんなら良いけど、そいつらの頭が出て来たらヤバいんだから、勘弁しろよぉ……まあ、もう遅いだろうけど……。
ナキオ:
それで、クライ殿……あぁ、いや、ネコ殿、ですな。
ヴェール:
ネコ?
ナキオ:
クライ殿の、本名です。
ヴェール:
へぇー……なんか可愛いね。
ナキオ:
ふっ……君の方が、可愛いよ。(※イケボ)
ヴェール:
早く続き話せ、ボケジジイ。
ナキオ:
(※拗ねる)
むぅ……あー、なんじゃったかのー!
なーんかー、忘れちゃったなぁー!
おじいちゃんだからぁー!
ヴェール:
いい歳して拗ねるなっ! 悪かったから、早く肝心なところ教えてくれ。
ナキオ:
ふんっ……はいはい……えっと、そのネコ殿が、ショバ代を立て替えてくれたんです。
ヴェール:
え、はぁ? そんな……立て替えられるような金額じゃ……え、マジ?
ナキオ:
そこでは、そういう話になりました。
それで、立て替えたんだから、返済まで監視できるように側に置く、と……。
ヴェール:
……つまり、借金のかたに、私はタングリスニへ連れて来られたと……気絶中に。
ナキオ:
そうなりますなぁ……同意無く。
ヴェール:
はぁ……散々だ……。
ナキオ:
……まぁ、拘束される訳じゃないようですから。
捕虜じゃないだけマシかもしれませんな。
ヴェール:
そうなんだねぇ……というか、なんでアンタまでここに居るんだ?
ナキオ:
……そりゃー、まあ、先生を1人で行かせる訳にはいきませんからな。ほっほっほっ。
ヴェール:
……私はこれでも強い方なんだけどね。
ナキオ:
ががががが、って壊れているのを見て、そうは思えませんでしたからな。
ヴェール:
うっ……それはそうか……。
ナキオ:
まぁ、ちょうど良かったんじゃよ。そろそろ、住まいを変えようかと思っておったしのぅ。
ヴェール:
ふぅーん……住まい……あーあ……店も仕事道具も……なぁんにも無くなったんだねぇ……。
ナキオ:
……先生、お気を落とさず。
ヴェール:
……だから、先生ってのやめてくれ。
良い機会だしさ、名前で呼んでくれよ……ほら、店も何も、もう無いんだから。
ナキオ:
……また、店を開けば良いじゃないですか。
ヴェール:
そうかもねぇ……でも、しばらくは良いさ。先生もやる気は無いね。
それに……アンタとは対等で居たいんだよ、なんかさ。
ナキオ:
えっ、告白?
ヴェール:
黙れ、クソジジイ。
ナキオ:
ほっほっほっ、クソジジイじゃなくて、ナキオじゃよ……ヴェール。
ヴェール:
……へんっ、アンタなんか、じいちゃんで充分だろうが。
ナキオ:
ほっほっほっ、年上は敬うものじゃぞ。
ヴェール:
いやだから……私の方が年上だっつーのぉ!
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/タングリスニ国/ブリーフィングルーム/
479:
ネコさん、お疲れ様です。
ネコ:
あぁ……なんとか作戦は成功したけど……イレギュラーが多かったね。
479:
そうですね……『虎の子』まで使用してしまうなんて、ネコさんにしては、焦ってましたしね。
ネコ:
あれは……被害が想定しきれなかったんだから、仕方がないだろ。
479:
はい、適切な対応だったと思いますよ。流石です。
ネコ:
……事後の手間は、最悪だけどね。
479:
秘密保持契約を結ぶ必要がありましたしね。
ナキオさんなら……まぁ、黙っていてくれるでしょう。
ネコ:
契約してるんだから、黙っていてくれないと困るでしょ、本人が。
479:
そうですね。
ネコ:
……ねぇ、今回の兵装さ。
479:
あぁ、試験運用のご協力ありがとうございました。
取得できたデータを見るに、まだ安定した運用は難しそうです。
ネコ:
……そっか。
479:
……お好みでしたか?
ネコ:
まぁ……実用化できたら真っ先に積んで欲しいくらいには?
479:
ネコさんのお墨付きとなれば、よほど良い性能だったということですね。伝えておきます。
ネコ:
うん。でも、あの……『量子絆環』(クォンタム・リンク)は……。
479:
要調整ですね。1度の起動で、『霊子駆動』(エーテルドライブ)の回路が焼き切れましたから。
ネコ:
いや……というか、アレは。
479:
なんです?
ネコ:
……人の身には、余る力じゃないか?
〜〜〜〜〜〜
*aguhont://アグホント大陸/タングリスニ国/ブリーフィングルーム/
ティアン:
……ねぇ、どういうことだったの?
479(博士):
……どういうこと、とはぁ?
ティアン:
とぼけるなよぉ……ギャリアン。
479(博士):
そんなキモい呼び方するの……貴方だけですよぉ。
ティアン:
いいから。
……あの、僕が買ったガジェットも、53(ゴミ)のハッキングも、お前の仕組んだことなんだろ?
479(博士):
あっはっはーっ、ネコ君が居なくなったや否や、天井から飛びついてきたと思ったらぁ……とんだ妄言をおっしゃるじゃあないですかぁ。
ティアン:
妄言? ははぁっ、そりゃあ普通ならそう思うぢゃんねぇ?
でもさぁ……ギャリアン、お前がやってるなら、話は別なんだよ。
479(博士):
……随分とぉ、買い被ってくれますねぇ。
いやぁ……そろそろ降りろよ、キトン。
ティアン:
ふっははぁ……そんなキモいあだ名で呼ぶの、お前くらいだよ、ギャリアン。
479(博士):
てめぇが重くて動作不良が起きんだろっつってんだよ。
早く降りろ。腕だけじゃなく、全部爆破されたいのか?
ティアン:
おー、こーわっ。よっ……ほらよ。
479(博士):
……断っておくが。
ティアン:
あん?
479(博士):
別に、この世の全てを掌握(しょうあく)できる訳じゃない。だからイレギュラーだらけだし、計画(プラン)通りには行かないことの方が多い。
ティアン:
それってさぁ……自供(じきょう)してるのと変わらなくない?
479(博士):
さぁな……だから、今回の件で言うと……75%くらいだよ。私の掌(てのひら)にあったのは、な。
ティアン:
へぇ……じゃあ、100%だったらどうなってたのやら。
479(博士):
if(イフ)の話に興味なんて無い。お前も良く知っているだろう、キトン。
ティアン:
……まぁね。
479(博士):
とりあえず……お礼でも言っておきましょうかぁ?
ティアン:
あぁ?
479(博士):
利用されてくれて、ありがとうございましたぁ。ティアン君。
ティアン:
ははっ……どういたしまして、博士。
……てか、なんも教えてくんないぢゃん。
【END】
〜〜〜〜〜〜
*TIPS①
⭐︎簡単習得! 君にも出来る調理テクニック!
調理補助ガジェット【ラビリテ・デュ・シェフ】
本機の起動は、バッテリー格納部分の蓋裏に取り付けてある、ミクロボタンの上から1028番目を10秒長押しするか、
ボイスコマンド『調理開始』(セ・パルティ)にて行えます。
『切断』(クーペ)
どんな野菜やまな板も完璧にカット出来ます。クシャミの音を音声認識で誤検知し、人体を切断する事故が度々報告されておりますが、当社は一切責任を負いません。
『粉砕』(エクラーゼ)
どんな物でも蒸さずに簡単に潰せるので、力の弱い方でも疲れません。範囲の指定は出来ませんので、なるべく平らな場所で、ご使用下さい。
『細断』(エマンサージュ)
千切りなど細やかなカットもイメージ通りに出来ますが、使用する際は、まな板の破片にお気を付け下さい。
『飾切』(デコラシオン)
10パターンの簡単な図形をご用意しており、その通りにカットすることが出来ます。もちろんまな板にもご使用出来ます。
『混合』(メランジュ)
調味料や生地を作る際に、ダマを自動検知し、完全に液状化するまで混ぜ合わせることが出来ます。ダマを自動検知する機構は別売りです。
『加熱』(キュイソン)
火力の調整は、なんと38段階。最高出力だと、お湯が1時間で沸騰します。30分以上最高出力を維持すると、内部バッテリーの発火に繋がりますので、お気を付け下さい。
『冷却』(ルフロワディール)
冷却力の調整は、こちらも38段階。最高出力だと氷を製造することが出来ますが、内部回路が凍結し、故障へ繋がるので、おすすめ出来ません。
〜〜〜〜〜〜
*TIPS②
⭐︎ナキオ技集
・本気の拳『怒天壊命』(どってんかいめい)
力任せの一撃。天の怒りをもって、命を壊す。
そんなイメージで練り上げた気をぶつける暴力。
・痺れる拳『羽雷主』(うらぬす)
気を電気に変換しつつ、拳に載せて打ち出す。
体を痺れさせ、無理やり動きを止める。
・重い拳『重飛多』(じゅぴたぁ)
気を練り、重い一撃を喰らわせる。
ヒット後、相手に纏わりつく重量のある気で、相手を地に落とす。
〜〜〜〜〜〜
*TIPS③
⭐︎ネコ技集
・『兵装:雷荷』(へいそう:フルメン・オヌス)
義体の一部へ高圧電流を纏わせるという、シンプルかつ凶悪な兵装。
・『防御機構:衝撃吸収』(ぼうぎょきこう:ショックアブソーブ)
受けた衝撃を瞬時に受け流す防御機構。
衝撃を受けられる上限値が定められており、上手く使用するには高性能な演算処理装置が必要。
・『霊子駆動』(エーテルドライブ)
某施設で研究されていた技術を汲み上げ、試験的に運用している兵装。
アンドロイド義体に流動性の疑似血液『霊子』(エーテル)を回路として組み込み、
心臓代わりの高出力なポンプを採用することで、非常に高い機動力を得ることができる。
・『霊子駆動-凶暴』(エーテルドライブ‐ブルータル)
戦闘における単純な機動力を優先したモード。
・『霊子駆動-熱線剣装』(エーテルドライブ-ビームサーベル)
ビーム兵装とリンクさせ、ビームを剣の形に腕から出力させたモード。
・『霊子駆動-量子絆環』(エーテルドライブ-クォンタム・リンク)
※本項は機密事項Lv.5となり、閲覧は不可となります。
〜〜〜〜〜〜
ー*ー*ー*ー*ー*ー
自作の声劇台本まとめ
https://note.com/gestalt_summer/n/n258ee3e888bb
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